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大戸屋 売上高マイナス5.7%

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

 

大戸屋 売上高マイナス5.7%

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大戸屋 売上高マイナス5.7%

 

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> 定食店「大戸屋」を展開する大戸屋ホールディングス28日、20203月期の連結最終損益が53000万円の赤字(前期は5500万円の黒字)になる見通しだと発表した。最終赤字は01年にジャスダック市場(当時は店頭市場)に上場以来初めて。(2020228日付『日本経済新聞』より一部引用)

 

 

■大戸屋はなぜ「売上高マイナス」になったのでしょうか?

 

「大戸屋」は、定食が人気の飲食店です。「素材と店内調理」をこだわりにしています。売上高は前年に対してマイナス5.7%というニュースですが、このニュースを聞いてどのような印象があるでしょうか?

 

・「風評被害があった」?

・「アルバイトが悪いことをして、イメージが悪くなった」??

 

一般的に、何かできごとが起きた時に、たった一つが原因であることはありません。いろいろなできごと全部合わさり、一つの結果が出ます。

 

まず、飲食業で一番大切なことを抑えておきましょう。

 

・早い

・安い

・おいしい

 

消費者はどこまで行ってもこれらを求めています。大戸屋は以前、730円の「大戸屋ランチ」という人気メニューがありました。でも、今、飲食は非常に厳しい状況です。外食市場が3割小さくなっています。人は外でご飯を食べなくなり、家でご飯を食べることが増えています。なおかつ、次の経費が上がっています。

 

1)材料費

2)人件費

 

今は円安なので、飲食で外国から輸入するものは原材料費が上がっています。また、大戸屋では人件費をたくさんかけるわけにはいかず、アルバイト・パートの方が働いています。最低時給はほぼ毎年に近いぐらい上がり続けています。原材料費も人件費も上がり、大戸屋は、一番人気の大戸屋ランチを一度やめてしまいました。

 

730円の人気メニューを除き、単価の高いものをお客様に召し上がっていただこうとしました。ここで、売上の計算式を考えてみます。

 

・【売上】=【客数】x【客単価】

 

売上を上げようとした時、大戸屋は客単価を上げようとして、次のような形を取りました。

 

・客単価を上げる

・一番低価格の「大戸屋ランチ」をやめる

・客単価は3%上がる

・客数は大幅に激減

・売上は減る

 

このような形になってしまったため、再び「大戸屋ランチ」を790円で復活させました。しかし、一度離れたお客様はなかなか簡単には戻ってきません。それで、今苦戦しています。その結果が、今回のニュースになっています。

 

 

■飲食業で、消費者から選ばれるためには?

 

経営者の気持ちを考え、「人件費が上がり、原材料費が上がったので、値上げした」という点では、理解できる部分はあります。でも、それではやはり、「早くて、安くて、うまい」という飲食業の基本に反してしまいます。

 

実際に今、飲食の市場が3割も小さくなっている中で頑張っている企業は、その基本を踏みとどまっている企業です。なんとかお金をかけずに、同じ価格帯で、同じ品質で、同じ商品・サービスで提供する努力をしている企業ばかりが残っています。

 

たとえば、マクドナルドは毎年どんどん値上げしていくイメージですが、それでも、いつ行っても1000円の範囲内で頑張っています。

 

また、ケンタッキーは、このご時世でも一食500円に挑戦しています。500円でお昼ご飯を食べられると、コンビニなどに対抗できます。今、コンビニでも500円以上かかりますので、ケンタッキーで500円ならケンタッキーが選ばれます。

 

さらに、スシローは一皿110円を崩しません。人件費が上がったら、タッチパネルなどの仕組み化、システム化に力を注ぎ、究極的にはお寿司を出す人以外は全部全自動になる可能性があります。

 

スシローは、お客様がお店に入ってから、席に座り、タッチパネルで注文し、お寿司が回り、全部食べ終わったらお皿の数をボンと置いてお会計までできるように、全て自動でできます。人件費が上がっても、人の力を必要としない仕組みがあるので、商品の値上げをしないで済みます。このように努力している企業が残っていきます。

 

 

■大戸屋は今後どのように立て直せるでしょうか?

 

大戸屋の経営者の気持ちはわかりますが、安い大戸屋ランチを引き下げ、お客さんが少なくなり、それで慌てるというのは場当たり的に感じます。

 

とはいえ、大戸屋は毎年15億円ほどの利益を積んできていますので、まだお金の余裕があります。残っている15億円ほどの余裕資金で、もう一度飲食の本質、つまり、お客様は何を求めているのかを追求するようになれば、踏みとどまれる可能性があります。

 

せっかくの人気メニューを下げたのは明らかなミスだと思いますが、やってしまったものはしょうがないので、今後、消費者がもう一度「大戸屋」に期待しているものに対して、飲食の本質的なものを提供し直せば、今後の業績も変わる可能性があります。

 

 

■今日のまとめ・・・・・・・・・

 

大戸屋は、一番の人気メニュー「大戸屋ランチ」をやめて客数が大幅に減り、売上も減りました。今後、「早い・安い・おいしい」という飲食の基本に立ち返り、消費者が求めるものを追求して提供するかどうかが、注目すべき点だと言えるでしょう。

 

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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