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DeNA 上場来初の最終赤字に

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

 

 

DeNA 上場来初の最終赤字に

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DeNA 上場来初の赤字に

 

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> DeNAは2月5日に発表した2019年4~12月期決算(国際会計基準)で、主力のゲーム事業を中心に493億円の減損損失を計上し、同期間の営業損益が441億円の赤字に転落した(前年同期は85億円の黒字)。(2020年2月7日付『東洋経済オンライン』より一部引用)

 

 

■DeNAはなぜ赤字になったのでしょうか?

 

まず、DeNAは何をやっている会社でしょうか?

・「野球チーム」?

・「ゲーム会社」??

 

本業はゲームの会社です。今、ゲームの主流はスマートフォンです。でも、DeNAやグリーという企業が成功したのは、今より一つ前の「ガラケー(ガラパゴスケータイ=以前の携帯電話)」の時代です。

 

DeNAはスマホが普及する前のゲーム会社の1位でした。ガラケーでできるゲームといえば、グリーが提供するゲームもあり、ピークは2013年でした。

 

2013年、この2社はものすごい勢いで成功しました。ところが、これは個人も企業も一緒ですが、「ひとつで成功すると、次の時代に乗り遅れる」ということがよくあります。次のような流れです。

 

・うまく行っていない危機感がある

・時代に合う商品・サービスを一生懸命作る

・成功する

・「うまく行った」と安心する

・新しい時代の波に乗り損なう

 

DeNAとグリーは、ガラケーのゲームでうまく行ったお金を使い、本業以外でM&Aをたくさんしました。DeNAが今、いろんな事業をやっているのは全てM&Aによるものです。

 

そうなったときに、今回減損処理が500億円行われていますが、これは本業ではなく、M&Aでの処理です。結局、「企業を高く買ったけれども、うまく行っていない」という状態です。つまり今回は、本業が赤字なのではなく「M&Aに失敗している」ということを理解する必要があります。

 

 

■DeNAはこの先赤字を抜け出せるでしょうか?

 

企業がうまく行くかどうかは、【本業が立て直せるかどうか】です。実際にDeNAもグリーも、本業のゲームは毎年右肩下がりで、売上は5年、6年と連続で下がっています。今後、DeNAは「ヒット作が出せるかどうか」に全てかかっています。

 

実はゲーム企業というのは、他の飲食、アパレル、住居などの業界と全く異なります。飲食業では、毎年安定的な売上が期待できますが、ゲーム会社は利益の変動が大きいのです。たとえば、ゲーム会社は他に次のような企業があり、いずれも「当たった・外れた」で利益が簡単に変動します。

 

・任天堂

・ソニー

・ミクシィ

 

任天堂の創業者は「我々のビジネスは相撲と逆」だと言いました。「相撲だと優勝するには14勝1敗が求められているけど、我々は1勝14敗でいい」と。つまり、一発当たるとものすごく大きい。そういうビジネスなんです。だから任天堂も、次のような流れがありました。

 

・「当たった!」

・次は低迷

・その次も低迷

・「また、当たった!!」

・再び、低迷

・もっと低迷

・「またまた、当たった!!!」

 

このような形で、ここ数年は「任天堂スイッチ」で復活しました。

 

ミクシィは元々、ツイッターやFacebookが出てくる前にSNSをやっていました。それでキャッシュリッチになっているんです。そこで貯金を持っていると時間を稼げるので、SNSの事業は落ちぶれましたが、その間にずっとゲーム開発をして、今度は「モンスターストライク」というゲームがどんと当たりました。

 

今回のDeNAは減損処理を500億円しましたが、まだまだDeNAはキャッシュリッチです。ゲームは原価がかからないので、利益率が非常に高いのです。実際、DeNAは2012年、2013年に当てているので、現金貯金はたくさん持っています。

 

ですから、本当に良いゲームを作る時間は持っています。問題は、任天堂の「任天堂スイッチ」、ミクシィの「モンスターストライク」のように当たるゲームを作れるかどうかです。それが今後の注目ポイントだと思います。

 

 

■投資家はDeNAをどのように見るでしょうか?

 

DeNAが任天堂と違うのは、本業と違うM&Aをやり過ぎているところです。「DeNA=ゲーム会社」と、ゲームに原点回帰するとわかりやすいのですが、いろいろなものに手を出して、ゲームで大きい当たりが出るかどうかは今の時点では何とも言えない状況です。

 

別の会社で、サイバーエージェントという会社がありますが、波乗りが上手なのです。次のような流れを作りました。

 

・ブログ(アメーバブログ)で当てた

・お金が入る

・そのお金でゲームを作る

・ゲームが当たる

・お金が入る

・そのお金で動画(AbemaTV)を作る

 

このように、波乗りを上手にやっている企業もありますので、もしかすると、DeNAやグリーはこのような方向に行く可能性もあります。でも、現状、DeNAはM&Aで全然うまく行っておらず、野球チームだけがうまく行っている状況です。

 

・ゲームで次の大ヒット作を出す?

・時代の先を読み、先行投資をしてタネをまく??

 

このようなことができなければ、今のままでは「ジリ貧」な状態が続くでしょう。

投資家としては、ゲーム会社は原価がかかっていないのでキャッシュリッチではあるので、そのお金をどのように使っていくか見てばいい、ということができます。

 

 

■今日のまとめ・・・・・・・・・

 

DeNAの本業はゲームですが、本業ではなくMAがうまく行かなかったために、赤字を計上しました。ゲーム会社は、一度ヒット作で「当たり」を出すとその後、先行投資に回すことができます。DeNAはまだキャッシュがあるため、この先どのようなお金の使い方をするかに注目すると良いでしょう。

 

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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