なぜメルカリの株価下落が続く?
浅川です。
白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。
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なぜメルカリの株価は下落し続けているのでしょうか?
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フリマアプリの会社、メルカリの株価は2019年4月より下がり続けています。
そもそもメルカリが画期的だったのは、商売経験のない人に、簡単に商売ができるような【仕組み・システムを提供したこと】です。フリーマーケットに出店するより手軽に、手早く、不用品等を売れるため、日本での利用者数や取引量は増えています。
■なぜ利用者は増えているのに株価は下がるのでしょうか?
メルカリは、日本ではスマートフォンで簡単に出品できるサービスとして成功しています。そこで利用者をもっと増やすために世界に展開しようとしています。次のような仮説です。
・日本で今、順調に利用者が増えている。
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・世界にはもっとたくさんの人がいる。
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・世界に展開すると、もっと利用者が増える。
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・企業として、成長が見込める。
ここで一つ問題があります。メルカリは、日本ではスマートフォンで不用品を売るサービスとしてナンバーワンですが、世界でも同様にナンバーワンなのでしょうか?
実は【仕組み・システム】は簡単に真似されやすいので、ビジネスで大きな成果を出すためには、他のサービスとの明確な差別化が必要です。他のサービスとわかりやすい違いがあれば、消費者はそのサービスを使おうと思います。
しかし、メルカリが日本で普及する間に、世界で似たようなアプリが既にたくさん出てきています。メルカリは世界ではナンバーワンのサービスとはいえません。すると世界での差別化は難しくなり、成長が見込めなくなります。
投資家の視点で重要なのは、投資家は今よいかどうかではなく、【これから成長し続けるかどうか】で判断するということです。それが株価に影響します。今回、株価が下落しているのは、投資家が次のように考え【成長は見込めない】と判断しているからだといえます。
・世界には既にメルカリのようなサービスがある。
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・メルカリが世界に進出しても、差別化できない。
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・メルカリは、この先、世界での成功は難しい。
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・企業として、成長は見込めない。
アメリカでも中国でも似たようなアプリが既にあり、日本人は使っていても世界では差別化できないとなれば、企業の成長は「今がピーク」だと思われ、株を売られてしまうのです。その結果、株価の下落という結果につながっています。
■世界展開以外の方法で成長が見込めるでしょうか?
メルカリは、フリマアプリに次いで、「メルペイ」というスマホ決済にも力を入れました。しかし、結果的にそれも成長を見込むのが難しいと考えられています。スマホ決済も競合が多いからです。
今、スマホ決済には、メルペイ以外に「楽天ペイ」「ペイペイ」「スイカ」など、たくさんの種類があります。すると消費者は選びきれなくなり不便に感じます。消費者から見れば、日本全国で使えるものを利用したいと考えるので、この先、大きなサービスの2つ、3つなどに統合されていくと予想されます。
その状況で、はたして「メルペイ」は生き残れるでしょうか? メルペイが生き残れる可能性はありますが、仮に生き残れるとしても、キャッシュレスのサービスは大きな収益源にはなり得ません。企業がキャッシュレスのサービスをするのは【顧客情報を集めるため】です。そのため、次のように経費がかかり、実際の利益は少ないといえます。
<マイナスのお金(経費)の例>
・システムを全国に普及させる費用
・決済処理にかかる費用
・広告宣伝費
<プラスのお金(利益)の例>
・利用者からの手数料
そう考えると、やはり投資家が成長を見込めるような、大きな収益を上げる要因が今のメルカリにはありません。だから、株価が下がっているという状況です。
2019 年に、LINEとメルカリが統合する話も出ていましたが、LINEはヤフーと協力することになりました。今後、メルカリが他の大規模事業の企業と協業するなどの話がなければ、株価の下落が反転することは難しいでしょう。
■ネットサービスは最初から全世界展開の勢いを
今回のニュースで学べることは、インターネットの世界での仕組み・システムで差別化するためは、【速度が命】だということです。品質やサービスがどれほど良くても、展開するのに時間がかかれば伸び悩み、企業の成長が見込めません。
逆に、差別化しやすいのは【人】です。世界76億人、一人一人全て違うので、人で差別化を図れるのであれば、速度は勝負になりません。
メルカリは、日本で普及させることには成功しましたが、世界で差別化することに出遅れました。この先、仕組み・システムを強みにする企業が成長し続けるためには、世界で同時リリースするというくらいのスピードでないと、成長は難しいでしょう。
■今日のまとめ・・・・・・・・・
メルカリは日本では成功しています。しかし、世界で差別化を図れるサービスではないことや、第2の事業であるキャッシュレスサービスで利益を得られにくいことから、投資家が成長が見込めないと判断しています。そのため、株価の下落が続いています。
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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。
浅川淑子(あさかわよしこ)
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