物価が上がらない理由は?
白坂です、
物価ほど、統計上の「数字」と「実感」の違うものはないと思います。
1991年のバブル崩壊以降、2012年までの約20年以上に渡ってデフレ(物価下落)経済だと言われ続けてきました。2012年以降、日本銀行は「インフレ(物価上昇)目標:2%」を設定した上で、異次元の金融緩和などの金融政策を続けて来ています。
ただ、
発表される統計では「物価が下落している」とか「物価は上がっていない」というニュースこそ多いものの、実感として「日本の物は本当に安くなり続けている」という実感を持っている方はどれくらいいるのでしょうか??
・スーパーに行っても
・コンビニに行っても
・レストランに行っても、、、
「いやぁ〜、昔に比べて随分と安くなったなぁ・・・」という実感を持っている方はほとんどいないのではないでしょうか?むしろ、「昔に比べて高くなっている・・・」という実感を持っている方が多いのではないでしょうか?だとすれば、この物価に対する「統計」と「実感」の差はどこから来ているのでしょうか?
お金の「支出の仕方」と「頻度」
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【消費者物価指数】の「重要度」と「物価」(2015年と2019年8月との比較)を見てみます。
・1位:食料品 (重要度26%)・・・物価:4.2%【上昇】
・2位:住居 (重要度21%)・・・物価:0.2%下落
・3位:交通通信(重要度15%)・・・物価:1.1%下落
上記3つが現代の生活必需品と言ってよいと思います。
(上位3つで重要度が62%)
そうすると、
重要度1位の食料品に関しては「ちゃんと」2015年度に比べて物価が4.2%も上昇していたわけです。
・スーパー
・コンビニ
・レストラン、、、
などで「頻繁」に、しかも「直接」で支払っている食料品の価格は「ちゃんと」上がっていたために、実感として「物価が上がっていない」という実感が持てないわけです。むしろ、「物価は上がっている」という実感があり、そして、統計上も「ちゃんと」上がっていたわけです。
にも関わらず、
「物価が上がっていない」という統計になっていたのは、「住居」と「交通通信費」の物価が下落していたからです。この2つの項目は、「月に1回」で、しかも「口座引落」になっているために、「安くなっている」という実感を持ちにくいのです。
しかも、
住居はこれからも安くなっていくことが容易に予想されます。理由は簡単で、日本の総人口が減少しているからです。人口が減るということは住居を必要とする人が減るということです。であれば、住居の価格は東京の銀座や山手線の内側以外の地域は、基本、下がっていく方が自然です。
また、交通通信費に関しいては、総務省が「日本の通信費は世界に比べて高いので、もっと安くするように!」と「NTT」「au」「ソフトバンク」の3社に散々と圧力をかけ続けています。その割には価格はあまり下がっていないかもしれませんが、しかし、確実に下がっています。そして、これからも下落傾向が続くでしょう。
ここで注意をする必要があります。
・重要度2位の「住居」は下落傾向
・重要度3位の「交通通信費」も下落傾向
にも関わらず、
政府が「インフレ(物価上昇)目標:2%」を追求し続けていったならば、、、
1位の食料品は、これからも上がり続けることが容易に予想される
・円安
・消費税の増税
・人件費の高騰、、、
人間の生活に最も必要で、1番、お金を直接で支払う機会の多い「食料品」の価格はこれからも上がり続けていく可能性があります。
「なぜ物価は上がらないのでしょうか?」
簡単です。
【統計】上では「住居」や「交通通信費」などの価格が下落しているから
統計というのは数字だからこそ正しいのは・正しいのですが、しかし、簡単に本質を見誤らせてしまう危険性も持っています。たとえ統計上の数字が上がっていなかったとしても、
生活に最も必需の食料品が上がっているのであれば、それは物価は上昇していると判断する方が自然
【統計】上の数字を見て、「物価が上がっていないから物価を上げる政策が必要だ」という判断は危険です。
時として【統計】よりも【実感】の方が大事です。食料品の価格が下がっているのであればともかく、食料品の価格は上がっています。であれば、物価を引き上げるための政策は必要ないと言えます。
経済は「数字」と「実感」の両方で判断してこそ本質をつかむことが出来ます
貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。
白坂慎太郎
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