化粧品業界の動向

白坂です、

 

化粧品業界の動向

まず、
化粧品は、衣食住のような
生活必需品ではありません。
大半の男性は買いません。

だから、
化粧品は、買いたい人だけが買うという
贅沢品です。

ただ
贅沢品とは言え、市場は大きいです。

全世界の化粧品市場は約47兆円。
規模的には、パソコンやスマホなどでの
部品として使われている半導体市場
50兆円に匹敵する大きさ。

なぜなら、
女性にとって「綺麗でありたい・
美しありたい」というのは、
生まれながらの根源的な欲求だから。

意識的であれ・無意識的であれ、
女性は男性から選ばれるのは
顔を中心とする外見であるということを
理解しています。

なので
生活必需品ではない贅沢品であるものの、
根源的な欲求に根ざしている以上、
需要は大きい。

デパートやショッピングセンターの
1階が化粧品売り場であるのは、
決して偶然ではありません。

ただ、

事業として化粧品事業への参入を
検討するとか、投資対象として
化粧品産業に興味・関心を持つとなると
話は全然、別。

理由は簡単です。
事業にとって大事なのは需要だけでは
ないからです。

供給も同じだけ重要

たとえ需要が大きかったとしても、
供給も同じだけ大きければ、
事業としては極めて難しい。

そして、

需要と供給の両方ともが大きくて、
なおかつ、商品が同質であった場合、
経済学的には「独占」の【反対】。
『完全競争市場』となります。

もし『完全競争市場』の場合、
どの企業も、経費以上に売上を上げられないので
利益ゼロ。つまり、撤退するまで自転車操業が
続くことなります。

化粧品業界に関して言えば、
・需要は大きい
・供給も大きい

では、

商品は「同質か?」
それとも「差別化されているか?」が
重要になってきます。

もしかしたら、生産者視点では
「差別化できている」という
認識なのかもしれません。

しかし、
いざ購入しようとする消費者視点では
どの化粧品も

ほぼ同質

です。

たとえば、
ある化粧「水」に、
色々な名前が付けられたとしても、
やっぱり「水」であることに
変わりはありません。

同じ「水」を原料にしながら、
効果が10倍・100倍、、、
違うということはあり得ない。

全く同じでないにしても、
消費者目線で言えば、
ほぼ同質の商品。

化粧品は、商品では
差を付けるのは難しい。

だから、
化粧品は原価が安い。
だいたい、材料代は、
商品価格の約10%

つまり、
1千円の材料で作られたものが
1万円で売られている。

では、
材料は、ほぼ同じだったとして、
製造方法で大きな差が付いているかと
言えば、化粧品業界に関しては、
そうでもない。

と言うのは、
化粧品業界には、中小の製造「受託」業者が
沢山いるから。

たとえ、企画・開発したのは別の会社でも、
同じ製造「受託」業者が、ほぼ似たような
化粧品を製造し、それぞれ別の商品名が
付けられた上で売られている、、、というのが実情。

だいたい、
商品価格の15%が製造労務費。

と言うことは、
・材料代:10%
・労務費:15%

・原価 :25%

であれば、
残り75%は売上総利益(粗利)ということに
なります。

>「え!?やっぱり化粧品事業って
  儲かるのでは!?」

と一見、思いやすいですが、
やっぱり化粧品は難しい。
なぜなら、

商品に大きな差がない分、
広告宣伝で差を付けざるを得ないから

・商品そのものに大差がない

・しかし、消費者には
 差があると認識してもらいたい

・広告宣伝による
 ブランドイメージで
 違いを演出する必要がある

化粧品会社の社長や経営者が
製造部長出身ではなく、
営業(または広告宣伝)出身者が多いのは、
業界での成功の鍵が広告宣伝にあるから。

>「この化粧品は、今までの化粧品とは
  違う!?」

と認識してもらえるか・どうか?
結果、

広告宣伝の「質」と「量」の勝負になる。

広告宣伝の「質」というのは、
文章を書く「コピーライター」と
デザインを担当する「デザイナー」の力量次第。

だから、
化粧品業界というのは、法律改正の影響を
とても大きく受ける。特に、「薬機法」や
「特定商取引法」の改正の影響を大きく受けます。

「法律上、効果を断言できない中で、
どうやって、確実に効果があると
認識してもらえるか?」の勝負だから。

なので、
化粧品会社は、優秀な「コピーライター」や
「デザイナー」を何人、雇用できるか、、、の
勝負になるので、優秀な人材確保で経費がかかる。

そして、
もっと大きいのは、

広告宣伝費

グーグルの1ページ目に
自社のホームページを表示させるにも、
テレビCMを流すにしても、いずれにしても、
広告の

需要と供給

当然、
高い広告単価で出稿した方が、
自社の商品を、よりたくさん表示させられる。

だから、

「顧客一人が、繰り返し購入を含めて、
この商品に合計いくらを支払ってくださるか?
(顧客生涯価値)」を正確に数字で管理した上で、

顧客生涯価値の限界まで、広告宣伝費を使っている

だから、
売上総利益(粗利)75%の化粧品業界でも、
立ち上げたばかりの企業は、ほぼ・ほぼ赤字。

売上よりも広告宣伝費の方の支払いが
先の場合が多いので、半年・1年・2年、、、
赤字先行、または赤字拡大の企業が多い。

材料代が安い分、
中小企業でも参入しやすいのが化粧品業界の特徴で、
しかも、中小企業でも、年商10億、100億、、、を
超えている企業も多いですが、

だからと言って、必ずしも
利益が出ているわけではない

・需要は大きい
・供給も大きい
そして、
・商品は、ほぼ同質

であれば、
理論上の『完全競争市場』ではないにしても、
かなり『完全競争市場』に近いのが化粧品業界。

だから、
いざ事業をやろうとするにしても、
また投資対象として検討するにも、
化粧品業界というのは、とても難しいのが実情。

しかも、
コロナが化粧品業界にとって、
大きな打撃となりました。
なぜなら、

「マスクの習慣化」が「化粧の必要性」を減少させた

化粧品に限らず、
今、人の価値観は、ドンドン二極化しています。
すなわち、

・大してコダワリがないので、
 最低限の支出で満足する価値観

と、

・大いにコダワルので、
 いくらでも支出をして
 何とか満たそうとする価値観

の2極化です。
だから、

化粧品に対して、大してコダワリがない層は、
コロナの「マスクの習慣化」で、化粧をする
機会を減らしました。

今までドラッグストアーでコスパの良い
化粧品を買っていたものの、化粧品そのものの
購入回数を減らしています。

なので、
今後の化粧品業界の動向としては、

(1)中価格帯・定価格帯の化粧品は、
   今までよりも売れなくなる

(2)高価格帯の化粧品は、単価が上がっても
   今まで通りに売れるので、売上はむしろ増える。

(3)商品で差別化されない分、
   「人」で差別化される。なので、
   発信力(影響力)のある人が勧める
   化粧品が、より売れやすくなる

ということが
予想されています。

 

化粧品業界の動向

今回は以上です。
本日も文章をお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。

白坂慎太郎

 

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