白坂です、
「転売屋の何が悪い?」
結論:
・道徳的には悪いと感じる
・法律的には基本、合法
・経済的には見えざる手の一部
まず、
転売屋の定義から。
今回は、
新品を定価で仕入れて、
定価以上の高い価格で販売する行為を
転売と定義した上で進めます。
具体的な事例を使った方が
分かりやすいので、今回は仮に
ソニーの『プレイステーション5』を
例にしてみます。
プレイステーションの新品を
5万円で購入して、
9万円で販売した、、、というのが
今回で取り上げる転売に該当します。
転売屋の何が悪いのでしょうか?
道徳的には悪い、、、と感じます。
理由は、
『プレイステーション5』を
5万円で本当に買いたいという人が
買える機会を少なくしているからです。
だから、
道徳的に悪い、、、と感じるとしたら
極めて自然な感情だと思います。
では、
道徳的に悪いと感じるとしたときに、
法律的にはどうなのでしょうか?
転売は、
基本的には合法
「基本的には」という条件を付けているのは、
「コンサートチケット」のように、ピンポイントで
転売を法律が違法と決めている商品もあるからです。
なので、
チケットの転売は規制する法律があるので違法。
ところが、ほとんどの転売に対しては規制する
法律がありません。
今回の例に挙げた『プレイステーション5』の
転売も違法ではありません。合法です。
だから、警察が動くことはありません。
転売屋の何が悪い?
・道徳的な感情では悪いと感じる
・法律的には合法
では、
・経済的には?
転売屋は、社会的には何の付加価値も
創っていません。ただ転売しただけで
4万円の利益を得ています。
付加価値を創っていないので、
転売屋が上げた利益4万円は、
GDP(国内総生産)には計上されません。
転売屋は価値を生み出していないのに
なぜ利益を得られているのでしょうか?
理由は、
市場に【歪み】が生じているから
市場というのは、
「消費者」と「生産者」の取引の場です。
・消費者は1円でも安くで買いたい
・生産者は1円でも高くで売りたい
消費者のことだけを考えれば、
安ければ安い方が良い。
でも、不当に安過ぎる価格は
社会の豊かさは極論ゼロに近づきます。
なぜなら、
消費者が不当に安いことで得ることが
できた利益を、生産者の損失で打ち消して
しまうからです。
・消費者の利益最大
・生産者の損失も最大
・結果、社会全体の豊かさはゼロ
生産者の損失が最大になると、
当然、従業員の給料は増えません。
最悪、人員削減が行われる場合もあります。
だから、
生産者は家計単位で見れば同時に
消費者である場合がほとんど。
なので
生産者の損失は給与の減少、
そして、さらなる消費の減少という
悪循環のデフレスパイラルの原因に
なります。
ゆえに、
消費者のことだけ考えて、
ヒタスラ・ヒタスラ安売りをしている企業
というのは、実は社会全体の豊かさを
減少させていることになります。
市場というのは、
「消費者」と「生産者」の取引の場。
・消費者は1円でも安くで買いたい
・生産者は1円でも高くで売りたい
だから、
市場は「見えざる手」によって、
売買によって「価格」と「数量」が調整される
・安過ぎれば商品不足になって
価格上昇圧力になる。
・少な過ぎれば同じく商品不足になって
供給増加圧力になる。
・合理的な価格で
・合理的な数量で取引されてこそ
・社会全体の豊かさが最大になる
今回の例で挙げた
『プレイステーション5』に関しては、
・本体価格が安過ぎる
・日本での販売台数が少なすぎた
という
企業の方にこそ責任があります
まず、
本体価格に関して、ゲーム機で5万円というのは
他のゲーム機に比べれば相場的に妥当な価格に
見えるかもしれません。
しかし、
『プレイステーション5』は、
ゲーム機とは言え
超高性能コンピュータです。
発売当時20年末の時点で、
世界最先端だった「7ナノ」
半導体が使われています。
その「7ナノ」半導体は、
ソニーグループの子会社
ソニーセミコンでは技術的に作れない。
台湾の企業TSMCだけが、
世界で唯一、提供できていた
当時における最先端の半導体。
それだけ
最先端:高性能の半導体を使っている
ゲーム機なので、コンピュータの
性能としても世界最高峰。
つまり、
『プレイステーション5』の
5万円というのは、
売れば・売るほど赤字になる価格
もちろん、本体販売で赤字になっても、
その後に、ソフトの売上げや有料会員からの
月額利用料金などの合計で黒字にするという
戦略的な赤字販売ではありますが、しかし、
本体価格としては不当に安い
のは事実。
『プレイステーション5』ほど高性能コンピュータを
5万円で提供されたら、時価総額:数兆円以上の
任天堂・メタ・マイクロソフト、、、以外では
経営が成り立ちません。
つまり、
『プレイステーション5』の5万円での
全世界発売は、
独占禁止法に抵触すら可能性すらある
ということ、
です。
この製品の性能に対して不当に安過ぎる
価格設定が、付加価値を全く生んでいないのに
転売屋に利益を上げさせてしまう原因の1つ。
そして、
転売屋が成り立ってしまう、
もう1つの理由は
日本での販売台数が少な過ぎた
ということ。
一般的には、『プレイステーション5』の
日本での販売台数が少ないのは、
いわゆる「半導体不足」が理由と言われていますが、
日本に限定すれば違います。
『プレイステーション5』の日本への割当が少なかったから
『プレイステーション5』は、
ソニーが提供しているゲーム機ですが、厳密には、
子会社の『ソニーインタラクティブエンタテインメント』が
提供しています。
そして、
子会社の本社はアメリカです。
だから、
親会社のソニーグループ自体は
日本企業だったとしても、
『プレイステーション5』に関して言えば、
アメリカの子会社がアメリカ・ヨーロッパ向けの
『プレイステーション5』を日本でも発売している
という形態になっています。
1世代前の『プレイステーション4』に
関して言えば、
・全世界での発売台数:1億2千万台
・日本での発売台数 : 900万台
・日本の発売シェア : 8%
つまり、
1世代前の『プレイステーション4』に関しては、
日本以外で92%、売られています。
ちなみに、
『プレイステーション4』は、日本は海外の
3か月遅れで発売開始され、しかも、その後
初速の100万台まで1年近くかかっています。
だから、
今回の『プレイステーション5』の
初回出荷数に関しては、
全体の約6%しか日本で供給されなかった
だから、日本における今回の
『プレイステーション5』は、
供給台数そのものも少なかった。
結果、
転売屋が利益を上げられる余地があった
ということです。
経済的に、
もし、
・価格
・数量
の両方が
「消費者」「生産者」の両者にとって
合理的であれば社会の豊かさは最大化します。
そして、
社会の豊かさ最大の状態こそが
経済的は最も効率的なので、
転売屋が利益を得られる余地はゼロ
なぜなら、
「消費者」「生産者」の双方が合意できている
数量と価格であれば、
・不当に安くで売ってくれる企業もいなければ
・不当に高くで買ってくれる消費者もいないから、
です。
にも関わらず、
『プレイステーション5』に関しては、
1年半以上、ずっと転売屋が利益を
上げ続けることが可能だった。理由は、
・製品性能のわりに価格は安過ぎるし、
・本当に買いたい人数に対して
日本での供給台数が今回は少な過ぎたから
つまり、
企業に責任があります
だから、
企業が本当に取り組むべきは、
転売屋の取締りを家電量販店などに
依頼することではなく、
・値上げ
または
・日本での供給台数を増やす
の
「いずれか」または「いずれも」。
売れば・売るほど赤字が拡大する
という販売戦略は、明らかにオカシイ。
歪んでいます。その歪みが
転売屋が存在できる理由
と言うことで、
「転売屋の何が悪い?」
結論:
・道徳的には悪いと感じる
・法律的には基本、合法
・経済的には見えざる手の一部
もし
転売屋の活動があったならば、
転売屋そのものを悪としてみるのではなく、
市場に【歪み】を生じさせている
企業の方にこそ、責任追及の眼を
向けることが
合理的な視点となります。
今回は以上です。
本日も文章をお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。
白坂慎太郎
追伸:


