ICBC(中国工商銀行)株価分析:高配当でもPERが低い本当の原因は?
白坂です、
ICBC(中国工商銀行):株価分析
今回は内容を
・前半(現在の株価状況)と
・後半(株の価値)で
分けています。
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【目次】
前半:
◽️ ICBC(中国工商銀行):現在状況の結論
◽️ 8つの詳細な指標
◽️ 市場の内部構造
後半:
◽️ ICBC(中国工商銀行):理論株価の算出
◽️ なぜPER(株価収益率)が低いのか?
◽️ 結論:現在の株価は「妥当」
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前半:
独自の解析AI『OUT-STANDER』の算出基準

◽️ ICBC(中国工商銀行)現在状況の結論

算出結果:
・スコアー:55(安定的)
・バブルではない通常の上昇傾向。
・トレンド転換の候補日は、3/28。
◽️ 8つの詳細な指標
(1)傾向の相関

・相関係数:0.60(△)
・市場は一貫して上昇傾向。
ICBCは10月以降で上昇傾向。
(2)傾きと感応度

・共通要因(例:リスクオン相場)での変動は、36%。
・市場が1%上がった時期のICBCの上昇率は0.67%。
(3)株価の変動幅

株価が大きく変動した。
(4)最大下落率

・最大下落幅:▲9.97%(◯)
・個別株としての下落率は小さい。
(5)リスクに対するリターン

・7ヶ月間で6.16%の上昇。
(市場に対して6.55%の劣位)
・個別株としての要因では上がったものの、
市場の上昇傾向の波には乗れていない。
・リスクに対してのリターンとして
優良とは言えない。
(6)因果関係

・市場が原因で変動していない。
(個別株に独自の理由で変動している)
(7)日次における変動のバラツキ具合

(8)株主構成

・政府系機関が71%超。(事実上の国営企業)
◽️ 市場の内部構造
・政府系機関が買い増しをする場合がある。
(例:ICBCの株価が急落した場合。または、増資目的。)
・踏上げ相場が起きる可能性があるので空売り比率は低い。
◽️ 直近の状況
・欧米系の機関投資家が現物売りなどでポジションを縮小。
・中国の本土系の投資家が高い利回りを求めて現物買い。
・市場に対立する利害関係者が混在。相場環境として安定的。
(「買いが買いを呼ぶ」などバブル的な要素がない。)
ゆえに、
◽️ ICBC(中国工商銀行)現在状況の結論

独自の解析AI『OUT-STANDER』の算出結果:
・スコアー:55(安定的)
・バブルではない通常の上昇傾向。
・トレンド転換の候補日は、3/28。
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では、
後半、、、
ICBC(中国工商銀行):
株の価値としての
算出結果:
妥当(▲4.95%)
以下、
理由、、、
◽️ICBC(中国工商銀行)の理論株価の試算
【株価=EPS(1株当たり純利益)× PER(株価収益率)】
ICBC(中国工商銀行)の
EPS(1株当たり純利益)は、
全体:+3.0% / 年

なので、
もしPER(株価収益率)の方が
一定だとしたら、
ICBC(中国工商銀行)の株価は上昇する。
そして、
ICBC(中国工商銀行)の
PER(株価収益率)は、
横ばい(▲0.1%)。
平均:5.94倍。

なお、
PER(株価収益率)の変動に
最も大きな影響があるのは、
ROE(自己資本利益率)。
ICBC(中国工商銀行)の
ROE(自己資本利益率)は、
▲7.0% / 年

ちなみに、
ICBCのROEが低下傾向である
最大要因は、中国の政策金利が
低下傾向だから。

・政策金利が下がる ≒ 貸出金利が下がる。
・預金者保護のために預金金利は政策金利ほどは下がらない。
・結果、利鞘が縮小しているので資金効率が低下している。
なので、
ICBCに関して言えば、
ROE(自己資本利益率)は低下傾向。
PER(株価収益率)は、
4.4倍から7.9倍の間で変動しているが、
低いPERで、実質的には横ばい。
なので
株価に関しては、
・EPS(1株当たり当期利益):+3.0% / 年
+
・PER(株価収益率) :▲ 0.1% / 年
⬇︎
・株価 :+2.9% / 年
◽️ なぜPER(株価収益率)が低いのか?
PERの分解式によって検証。
・PER=配当性向÷(割引率 − 成長率)
・成長率=ROE(自己資本利益率)÷(1−配当性向)
変数は3つ。
(1)配当性向
(2)割引率
(3)ROE(自己資本利益率)
なので、
ICBCの場合、
(1)配当性向が30%で固定されている。
ICBCは、「割引率>ROE」の状態なので
配当性向を引き上げた方がPERは上がる。
(2)割引率
銀行業界に共通の規制リスクに加えて
中国企業であるということで理論上で+0.95%。
さらに、地政学などへの解釈で+5.4%。
合計でチャイナ・リスクが+6.35%。
(3)ROE(自己資本利益率)
25年度の推計値で9.0%。
数字は銀行業界では低くはないものの
傾向が一貫して減少傾向。
ただ、
上記(1)から(3)は全て
PER(株価収益率)を低くする要因ではあるものの、
ICBCの場合は、いずれも最大要因にはなっていない。
なぜなら、
仮に、
・配当性向:30%固定
・割引率 :▲6.35%
・ROE :7.5%(▲1.5%)
としたとしても、
それでも、ICBCのPER(株価収益率)は
28.57倍になる。
つまり、
ICBCの平均PER:5.49倍という
低い数字は、
(1)配当性向
(2)割引率
(3)ROE(自己資本利益率)
3つの変数だけでは
数字が合わない。
ならば、
ICBCのPER(株価収益率)を
最も大きく引き下げている
要因は何なのか?
【資本摩擦】
すなわち、
成長率=ROE×(1−配当性向)−【資本摩擦】
要するに、
ICBCの場合、配当で還元が終わった後の
内部留保を、将来の当期利益の成長のために
自由に再投資が出来ない。
なぜならば、
ICBCは上場企業とは言え、
実質、国営企業なので、
最大の目的関数が、
× :株主にとっての当期利益の最大化
◎:中国共産党の政策目標の実現支援
だから、
他国の民間銀行では
決してやらないような融資も
ICBCは義務的にやっている。
具体的には、
利鞘がゼロ、またはマイナスが
見込まれる法人への融資。
つまり、
貸し出すこと、そして、
中国国内の資金総量を増やすことが目的であって、
銀行として当期利益を最大化することは
最大目的になっていない。
だから、
たとえ内部留保の割合が
70%あったとしても、
必ずしも利益を増やすために
再投資されるわけではないという
【資本摩擦】の分で、成長率が大きく低下する。
(成長率=ROE×(1−配当性向)−【資本摩擦】)
結果、
PER(株価収益率)の
分母の引き算に使われている成長率が、
× :5.95%
◎:1.5%(▲4.45%)
ゆえに、
ICBCのPER(株価収益率)が
低いままで横ばいである最大の理由は、
経営の自由度が
著しく制限されているがゆえの
【資本摩擦】が、株主にとっての
見えない大きなコストになっているから。

実質、国営企業という
構造的な理由が最大要因なので、
PER(株価収益率)は、引き続き、
横ばいで推移する可能性が高い。

ゆえに、
ICBC(中国工商銀行)の
価値に関する算出結果:
妥当(▲4.95%)
・時価:6.40HKD
≒ 価値:6.73HKD
以上、
「ICBC(中国工商銀行):株価分析」
でした。
文章を最後までお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。
白坂 慎太郎