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自社株買い加速で10兆円突破!?上場企業が「自社株買い」を行う理由と投資家の評価基準

白坂です、

 

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>「上場企業の自社株買いが加速している。

2019年度は年度として初めて10兆円を突破する勢いだ。米中対立などで景気に先行き不透明感が漂い、成長に向けた投資に踏み切りにくいなか、稼いだ資金の振り向け先として自社株買いを選ぶ構図だ。」

(『日本経済新聞』より一部引用)

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まず「自社株買いとは?」

企業が自社の株式を株主から買い戻すこと、です。

 

つまり、

(1)企業が上場して、市場で自社の株式を売り出す

(2)全世界の投資家が企業の株式を購入する

(3)【企業が自社の株式を株主から買い戻す】

 

となります。

では、「『なぜ企業は1度は売り出した自社の株式を買い戻す』というような自社株買いを行うのでしょうか?」大きくは3つの理由があります。

 

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(1)自社株の価格が安いと思っているから

(2)自社の資産を意図的に小さくしようとしているから

(3)長期保有してくれている株主の資産価値を増やすため

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では、

1つずつ見ていきたいと思います。

 

(1)自社株の価格が安いと思っているから

ビジネスの基本は、「安くで買って高くで売る」です。

であれば、もし企業が市場で売買されている自社の株式が安いと判断していた場合、市場から安い自社株を買います。そして、後に自社の株価が高くなった時に、もう1度、市場に自社株を売り出すことで自社株という商品を通じて利益を出そうという考え方になります。

 

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(2)自社の資産を意図的に小さくしようとしているから

これは先ほどの「後に自社の株価が高くなった時に、もう1度、市場に自社株を売り出すことで自社株という商品を通じて利益を出す」とは【違う】理由での自社株買いになります。先ほどの場合は、購入した自社株を保有し続けることになりますが、今回の「自社の資産を意図的に小さくする」場合は、保有せずに消却します。

 

つまり、購入した株式を発行済み株式総数から取り除いてしまいます。

そうすると、「貸借対照表」の株主利益が減ります。

 

「なぜ、わざわざ自社の資産を減らすということをするのでしょうか??」

 

それは、

投資家による判断基準の1つにROE(自己資本利益率)があるからです。

投資家は「少ない自己資本で多くの利益を上げている」という効率の良い経営をやっている企業の株式を好む傾向があります。

 

本当だったらROE(自己資本利益率)は、分子である「いかに多くの利益を上げているか?」で評価されるべきものですが、分母の「自己資本を減らす」ことでも数値が上昇します。わざわざ自社の資産を減らすことで、分母の数字を減らすことでROE(自己資本利益率)の数値を上昇させたいという目的もあります。

 

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(3)長期保有してくれている株主の資産価値を増やすため

 

分かりやすさだけを強調するために極論で説明いたします。

たとえば100億円の資産を100株で保有されているとしたら、1株当たりの資産は「100億円÷100株=【1億円】」です。

 

そこで、企業が自社株買をして市場から90株を買い取ったとします。そして、購入後に消却して発行株式数そのものを減らしたとします。そうすると「100億円÷10株=【10億円】」となります。つまり、企業による自社株買に応じずに、あくまで持ち続けていた株主の資産が1億円から10億円へとイキナリ10倍に増えたということです。

 

もちろん、ここまで極端な自社株買いは行われませんので、株主の資産がイキナリ10倍ということはありませんが、しかし、企業が自社株買いを行うと自社株買に応じずに株式を持ち続けてくれた株主の資産が増大することは確かです。なので、一般的に、企業が自社株買を発表すると投資家は好意的に受け止めるので、株価が上昇することもあります。

 

と言うことで、

「『なぜ企業は1度は売り出した自社の株式を買い戻す』というような自社株買いを行うのか?」については、

 

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(1)自社株の価格が安いと思っているから

(2)自社の資産を意図的に小さくしようとしているから

(3)長期保有してくれている株主の資産価値を増やすため

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ということが言えます。

では、逆の立場の「投資家としては企業による自社株買いをどのように評価すれば良いのでしょうか?」

 

それは「投資家【本人】が株式投資を通じてどのような結果を求めているのか?」によります。

もし短期での大きな売却益を求めている場合は、企業による自社株買いはあまりニュースだとは言えないと思います。なぜなら、企業自身がROE(自己資本利益率)に関して、分子の「いかに多くの利益を上げているか?」は、現状ではやや厳しいと判断しているということが分かるからです。

 

もし、イケイケ・ドンドンの企業であれば自社株買いは行いません。

自社の株式を購入する資金があるならば、さらなる大きな成長のために広告宣伝費などに本業へ再投資するからです。分母の自己資本の増大以上に、より大きな利益を上げようとします。

 

企業が自社株買いを行うということは、現状で急成長は厳しいと判断しているということが分かるので、もし短期での大きな売却益を狙った上で株式投資をしている場合、その企業はあまり魅力的な投資案件ではなくなるということです。

 

逆に、

 

もし、株式投資を長期投資として行いながら売却益ではなく資産を増大する目的で行なっている場合、企業による自社株買いは明らかに好材料です。なにせ、株主である自分は何もしていないでただ持っていただけで、資産が勝手に大きくなるからです。極論、自分はただ持ち続けているだけで、企業が自社株買いをしてくれる度に、自分の資産がどんどん・どんどん大きくなっていきます。

 

長期投資の理想形としては、【かなり早い段階で投資をしておいて、後は持ち続けておくだけで長期資産が増えていくこと】です。もし、その理想形を念頭に置いている場合、今回の「自社株買いが1年で10兆円突破」というニュースは、極めて好意的に解釈されている報道だと言えると思います。

 

貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

白坂慎太郎

 

自社株買い10兆円突破へ

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