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【ユニクロ】アパレル業界の「勝ち組」「負け組」の格差が拡大

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

【ユニクロ】アパレル業界の「勝ち組」「負け組」の格差が拡大

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【ユニクロ】アパレル業界の「勝ち組」「負け組」の格差が拡大

 

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■ユニクロの株価は、理論上の1.5倍

 

まず、「ユニクロ」という企業の「理論上の株価」と「実際上の株価」が、動画を撮影している現時点(2020年3月)でどのような状況になっているかを見てみましょう。

 

ここで、「理論上の株価」は、ユニクロが今現在出している営業利益から計算して出す株価です。それに対して、「実際上の株価」は、現時点で「投資家はどれぐらいその実力に対してさらに期待しているか?」という数字になります。それが今、次のような状態であると言えます。

 

・ユニクロの「実際上の株価」=「理論上の株価」の「さらに」1.5倍高い状態

 

ここで、「さらに」という言い方をしたのは、現時点では、コロナショックの影響で日本の上場企業のほぼ全企業が株価をかなり下げている状態であるのに、さらにまだ1.5倍高い数字になっているからです。やはり投資家は「ユニクロ」に対し、企業名は「ファーストリテイリング」ですが、ファーストリテイリングに対して非常に大きな期待があり、「ユニクロはまだ伸びる」と期待をしている状態だと言えます。

 

 

次に、アパレル業界をを見ていきましょう。日本国内限定になりますが、日本国内のアパレル業界は市場規模が9兆円です。ここ数年、この数字は伸びもせず、減りもせずにずっと横ばい状態です。

 

それに対して1位のユニクロは、1社で1兆円の売上があります。2位のしまむらは、1社で5,000億円の売上です。この上位2社だけで、1.5兆円の売上を上げていることになります。つまり、この2社だけで、日本国内のアパレル業界の1/6の売上を上げていることになります。

 

 

■ユニクロは本当に勝ち組?

 

今回のニュースのタイトルは「勝ち組と負け組の格差が拡大」です。では、今度は逆に、「負けた企業」を見てみます。いわゆる中型のアパレル企業で負債総額が50億円以上で倒産した企業は、2019年の1年間で3社出ています。この「光」と「影」で「勝ち組と負け組の格差拡大」というニュースになっています。

 

ただ、本質的に「この見方でいいのか」ということを、今回お伝えしたいと思います。要するに、ユニクロは国内のアパレル業界の勝ち組に入っているというニュースですが、はたして本当にその見方で良いのでしょうか?

 

ではまず、ユニクロの売上の構成比を見ていきます。

 

ファーストリテイリングという企業は、主に4つの事業によって売上を上げています。一つはユニクロの国内の売上です。今回のこのニュースでもあります。それからさらに、ユニクロよりも低価格を中心とした「gu」というブランドもあります。あとは、ユニクロの海外の売上。そして、「ユニクロ」でも「gu」でもない、別のブランドであるグローバルブランドによって売上を上げています。まとめると、次のような形です。

 

<売上100%の内訳>

1)ユニクロ国内の売上:38%

2)guの売上:10%

・日本国内全体の売上:48%

 

3)ユニクロ海外の売上:45%

4)グローバルブランドの売上:7%

・海外での売上:52%

 

このように見ていくと、「ユニクロ」は私たち日本人にとっては「日本企業」というイメージがありますが、実際の売上の52%は海外の事業で上げているので、もはや「グローバル企業」だという見方ができます。

 

ユニクロは、2019年の1年間で倒産したアパレル企業3社に対しては、「国内で勝っている」と言えます。しかし、実は売上を分析してみると、異なる側面が見えてきます。

 

ユニクロは、「客単価」は前年よりも0.8%上がっています。インターネットでのECサイトがあり、ユニクロの実店舗に行かなくても買えるからです。でも、「客数」に関しては既存の実店舗とネットを両方合わせても、前年を下回っています。要するに、ユニクロでお買い物をするお客様の「数は減った」と言えます。

 

ですから、ニュースの報道では「勝ち組」と書かれていますが、昨年よりも日本国内ではお客様が減っているので、ユニクロ自体は「勝っている」という印象はないと考えられます。その危機感が、ユニクロを海外に積極的に展開させた原動力になっていると見られます。

 

 

■ユニクロの今後を判断するには?

 

仮に「勝ち組と負け組」というニュースを見て、「やっぱりユニクロは強いよね」という捉え方をすると、現状のような期待値の高い評価になっていきやすくなります。しかし、おそらくユニクロの国内事業に関しては、ユニクロの中では「昨年より、私たちの商品を買ってくださるお客様が減ってしまった」と、危機感の塊だと考えられます。それを一生懸命、インターネット販売で補おうとしています。

 

このような状況で私たち投資家が、本当はどこを見る必要があるかと言えば、「日本国内で勝っている」ということではなく、「ユニクロは今後どこにいく? さらにどのように展開していく?」ということです。たとえば、「今度はインドで挑戦する」という報道が出ていますが、そのような海外展開などのニュースに注目するなどし、次のような視点で考えることが重要です。

 

・今でも十分高い株価は、さらに上がっていくのか?

・ユニクロは、グローバル企業として成長の余地があるのか?

 

これらを考えることが、投資家にとっての本当の投資の判断材料であると言えます。

 

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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