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なぜスシローは2月に2日間も一斉休業することにしたのか?

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

 

なぜスシローは2月に2日間も一斉休業することにしたのか?

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なぜスシローは2月に2日間も一斉休業することにしたのでしょうか?

 

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回転寿司のスシローは、2月4日・5日に全店舗休業をするお知らせを発表しました。

 

1月24日に「別府の杉乃井ホテル10連休」の記事を掲載しましたが、従業員の休日増加のニュースが増えています。なぜでしょうか? 今回は、経済学の「市場」との関係から考えていきましょう。

 

 

■「労働力の価値」が高まっている証拠

 

経済学では、商品・サービスなどの売り買いがなされる市場が3つあります。

 

1)「モノ」の市場:お店の人が売り、消費者が買う市場(スーパー、コンビニなど)

2)「お金」の市場:お金そのものを売り買いする市場(証券、株式、投資信託など)

3)「労働」の市場:労働力を売る人(働きたい人)と、労働力を買う人(企業)の市場

 

今回のように、「従業員が連休を取りました」というニュースは、3の「労働市場」の価値が一番高くなっていると言えます。

 

ではなぜ、モノやお金の市場の価値が下がり、労働市場の価値が上がっているのでしょうか?

 

これまで、過去の高度成長期にはみんな「テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジが欲しい」と思い、「モノ」に価値がありました。しかし今は、誰もがスマホを持ち、便利なモノが増え、溢れています。モノを「買いたい」人が減っているため、「モノの市場」の価値が低下しています。

 

次に、お金を欲しがる人はまだまだいますが、実は「お金(貨幣・紙幣)」自体は毎年増え続けています。日本の「円」は銀行が印刷するだけなので増えていますし、世界的にも増えています。各国の中央銀行が印刷すれば流通量は増えるので、お金の価値も、経済的な価値も下がります。そう考えると、昔ほど「お金」の価値があるとは言えない状況です。

 

一方、次のように「人」の価値は上がり、労働市場の価値は上がっています。

 

・過去:人を雇いたい企業 < 働きたい人

・現在:人を雇いたい企業 > 働きたい人

 

過去20世記は、有名企業が採用募集をしたら一気に殺到するなど、労働力を「買う側」の力が強い状況でした。それが今、完全に逆転しています。労働力を売る側が、「無理して働かなくてもいい」と考えるため、「売る側」の力が強くなっているのです。

 

特に売る側の力が強くなっているのは、深夜業務のある外食産業やコンビニ業界です。この業界の中で「そこまでして働きたくない」という人が増え、労働市場の強さが売り手と買い手で逆転しています。だからこそ、従業員の労働力の価値が高まり、「連休を取る」などがニュースとして注目されているのです。

 

 

■従業員のやる気を高める「2連休」

 

スシローは、全業種の中でも最も利益を出しにくい「飲食業」です。お米、魚などの原価が上がり、人件費もどんどん上がると、会社として利益を出しにくくなります。人件費には、「支払う」お金以外にも、求人のコストがかかります。仮に従業員が次々と辞めると、求人のコストがさらにかかる結果になります。

 

そのためにもスシローは、「モノ」「お金」ではなく「人」に投資し、従業員の教育や定着にお金をかけています。それが、今回のニュースで学べる点です。

 

では、なぜスシローは2月に2連休を取ることにするのでしょうか?

 

それは、従業員へのモチベーションを上げるためです。2月3日は節分で、恵方巻が売れる日です。会社は、「節分の日は恵方巻でしっかり売上を上げるために働いてもらい、その後は2日間ゆっくり休んでもらおう」と考えたのです。人は忙しくても、その後に休みがあれば頑張れますから、スシローは従業員のやる気を高めるために、この日を選んだと言えます。

 

 

■スシローの業績がいい、もう一つの理由

 

スシローが業績が良いのは、「人」を大事にしている一方、「人」が全くいらない店作りもしているからです。

 

経営はドライな面も必要です。「人」がいないと倒産する状況では、会社にとってリスクでしかありません。そのため「人」がいなくても成り立つ仕組みも必要です。その点、スシローは無人化に力を入れています。次のような流れができるよう、実験店舗での取り組みも始まっています。

 

・お店に入り席に座る

・タッチパネルで食べたいお寿司を選ぶ

・回ってきたお寿司をとり、自由に食べる

・皿の種類で画像認識され、お会計が自動計算される

・キャッシュレスで支払う

 

今は、もう少し店内にサービスする従業員が必要ですが、いずれ、店内にいるのはお寿司を作る寿司職人だけでよくなります。連休を取り、従業員を大切にする取り組みを進めながら、人がいなくても回るお店作りをやっているのが、スシローの特徴です。人が必要な仕事と、無人化で対応できる仕事、この両方があるため、業績がよくなっています。

 

■今後、スシローが注目すべき点は?

 

現在どの業界でも、二極化が進んでいます。お寿司屋さんの場合は、「目の前で、熟練された職人さんに美味しいお寿司を握ってもらいたい」という人に向けた高級店にするか、スシローのように「人がいなくてもいいからお腹いっぱい食べたい」という人に向けたお店にするか、の二極化になります。

 

その間の中間を取ると中途半端な店になり、成功しません。

 

スシローが成功しているのは、単に安いだけではなく、材料代はかけているところです。原価率は50%と材料にお金をかけて美味しさを提供する分、人件費をグッと圧縮しています。その圧縮の仕方も、給料を減らすのではなく、教育や求人にかけるお金を減らし、無人化を図る方法です。

 

今後、スシローの無人化は、他の業種でもお手本になるため、注目されています。人手不足で業績が悪い企業にとって、どのように無人化できるかは参考になるでしょう。

 

今日のまとめ・・・・・・・・・

 

スシローが2連休を取るのは、スシローが「人」に投資しているためです。従業員へのやる気を高め、定着を図る一方、店内の無人化を積極的に進めるなどで業績を伸ばす工夫をしています。人を大事にしながらも、人がいらない店作りもしているのが、スシローの成功の理由です。

 

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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