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すかいらーく24時間営業廃止

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

 

すかいらーく24時間営業停止

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すかいらーくの全店舗、24時間営業廃止へ

 

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>株式会社すかいらーくホールディングス(本社・東京都武蔵野市、代表取締役会長兼社長・谷 真、東証一部: 証券コード 3197)は、2020年1月から4月にかけて、現在約150 店舗ある24時間営業を全店廃止することを決定しました。この24時間営業店舗を含め、グループの約560店舗(ガスト、ジョナサン、バーミヤン、グラッチェ ガーデンズ、夢庵)で深夜の営業時間を短縮します。(『すかいらーくホールディング』ホームページより引用)

 

 

■「すかいらーく」業績の現状は?

 

すかいらーくは、外食レストラン業界の最大手です。かつて「すかいらーく」というお店がありましたが、今は「すかいらーく」というお店はなく、複数の名前で店舗を経営しています。そのうち主力店舗は「ガスト」です。

 

すかいらーくは、実はドラマのように面白いストーリーがある企業です。もともと、カリスマ経営者が1970年代に「すかいらーく」という店を作り、創業しました。店舗を拡大した結果、外食チェーンとして最大手のレストラングループとして成功しました。

 

しかし、時代は常に変わり続けます。成功すると、逆に失敗にもつながりやすくなります。

 

すかいらーくも、成功から失敗への道を辿りました。創業社長が、過去にうまくいったやり方をずっと続けていたからです。たとえ社員が意見を伝えても、お客様からの要望が出てきても、創業社長は「自分のこのやり方で成功したから」ということを、言い続けてきました。

 

その結果、、、

 

すかいらーくは急に業績が下がり始めました。結果として、次のような結末を迎えたのです。

 

・上場企業として成功

・業績が下がり始める

・「上場廃止」を決定

・創業社長をはじめとする経営陣が、株式市場の株を全て買い戻し

・非上場企業として再建

・株主から創業社長が解任を命じられる

 

株主は社長を解任して、株主主導で経営再建を図る方針でした。株主は利益を出させるプロなので、数字に対しては非常にドライな面があります。そこで考えた方針は、【利益重視で低価格路線のレストランで立て直すこと】でした。

 

そこで生まれたのが、「ガスト」です。

 

低価格帯での売り上げに見合うよう、経費を下げてお店を回る仕組みを作った結果、次第に利益が出て、業績は上向きになりました。そこで再び上場して成功。今のように、外食産業の最大手として再建することができ、業績も非常に伸びています。

 

ではなぜ、すかいらーくは再建できたのでしょうか?

 

それは、低価格路線に絞ったことが1番の理由です。人間は、理屈ではわかっていても、できないことがたくさんあります。外食産業なら、次のいずれかの選択をする必要があります。

 

・「低価格」or「高価格」

・「一般大衆向け」or 「高級な一部の人向け」

 

仮に高級路線でいったとしても、もっとたくさんの人に来てほしいと考える場合に、コンセプトがずれ、中途半端な形に陥ることがあります。すかいらーくの場合は、「ガスト」という店を作り、低価格に特化するという戦略が明確でした。それが、一番の好業績の理由です。

 

 

■24時間営業廃止の意味合いは?

 

今回のニュースは、従業員に対する働き方改革である側面があります。それに加え会社としては、深夜時間に営業し続ける状況での売り上げと、深夜時間帯の人件費などの経費のバランスを考えると、経費が高くなり、売り上げに見合わないと判断したのだと言えます。

 

これは、消費者のニーズの変化とも関係があります。以前は、深夜に集まる場所があれば便利だと考えられ、コンビニやファミレスが深夜の集まる場所になりました。しかし今は、ネットの時代です。自宅で人とつながることもできるため、外に出ていく必要がありません。

 

今後、日本の流れを考えると、コンビニもファミリーレストランも、24時間営業は減っていくと予想されます。それは、経済で大切な「需要」と「供給」のバランスを見ても明らかです。外食産業の場合、24時間営業を必要とする消費者と、24時間営業を提供するお店とのバランスが釣り合うことで成り立っていました。

 

・「需要」:24時間営業してほしい(消費者側のニーズ)

・「供給」:24時間営業の店舗(企業が提供するサービス)

 

たとえば、小売大手の「ドンキホーテ」という企業は、小売業界になかった24時間営業を始めたことで、消費者のニーズを満たし、売り上げを伸ばしました。もし、他の小売業界も24時間だったら、お店は必要とされず、売り上げは上がらなかったでしょう。

 

今は、24時間営業に関して、「供給」が多い状態だといえます。そのため24時間営業の店舗は減っていくと予想できます。しかし、「24時間営業が必要」という声がゼロになるわけではないので、求めている人がいれば、そのニーズに見合ったお店は残っていきます。

 

 

■すかいらーくの今後の業績は?

 

すかいらーくは今後、24時間営業を廃止することで営業時間中の売り上げが減るので、右肩上がりの成長は止まると予想されます。しかし、逆に人件費は抑えられるので、利益は増えていきます。利益重視の株主にとっては、好調だと判断できるでしょう。

 

では、この先の業績を予測する上では何を見れば良いでしょうか?

 

それは、「どのような形態で売り上げを上げるか」ということです。

 

現在、日本の総人口が減っているのは明白です。そのため、国内での売り上げには限りがあり、海外に進出して海外での売り上げを上げることが迫られます。企業は3ヶ月ごとに業績を発表する中で、国内と海外の売り上げの割合も発表しています。仮に90%が国内の売り上げの会社の場合、業績を上げるために海外売り上げを増やす戦略を持っているか、注目する必要があります。

 

すかいらーくの場合、今回、以下のような状態です。

 

・24時間営業をやめる

・人件費を下げ、売り上げを上げる

・利益を増やす

・その利益をどのように使うか?

「新地域への出店」??

「新業態を作る」???

 

飲食業界は非常にこの先の時代の流れにもっとも危機感がある業界です。ラーメンの「一風堂」はニューヨークへ進出し、カレーの「ココイチ」はインドへの進出を決めています。すかいらーくは業界最大手であり、資金力もあるため、今後経営陣が何を考えるか、決算発表の内容に注目していくことが大切です。

 

 

今日のまとめ・・・・・・・・・

 

すかいらーくは、低価格路線に特化した「ガスト」を作ったことで業界最大手になりました。24時間営業を廃止することで、今後、利益重視の戦略をとると予想されます。この先どのような新業態・新展開を発表するか注目すべき点です。

 

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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