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オリンピックの経済効果は?

白坂です、

 

オリンピックの経済効果は?

 

もし
「オリンピックが中止された場合」は
経済的な【損失】は、4.5兆円だと推計されています。

 

要するに、
オリンピック開催のために準備された費用と
延期にともなって追加でかかった費用の合計である
4.5兆円がまるまる損失になるということです。

 

もし
「オリンピックが簡素化された上で開催された場合」の
経済的な【損失】は、1.4兆円だと推計されています。

開催すれば、開催することによって得られる収入もあるので、
損失額が減少するという考え方になります。

 

ただ、
これらは、いずれも、

 

・オリンピック開催に向けていくらの費用がかかったのか?
そして、
・オリンピック開催することでいくらの収益が期待できるのか?

 

という
極めて短期的な視点だけでの推計であると言わざるを得ません。
実際は、もっと長期的かつ合理的に考える必要があります。

 

思い起こせば、
まだコロナが世間の話題になる2020年以前、、、

日本における最大の社会的な問題は、
「日本総人口の減少」でした。

 

日本総人口の現象は、昔も今も変わらず、
本質的な課題です。そして、最大の課題です。
なぜなら、

 

・総人口が減れば
・生産者も
・消費者も、その両方が減少するので、

 

分かりやすく経済が縮小することが
目に見えているから、です。

 

だから、
コロナショック前の2020年以前は

 

>「2020年のオリンピックまではいいかもしれないけれど、
オリンピック以降の日本経済は厳しくなりそう。。。」

というのが1つの常識になっていました。

 

・長期的には日本経済は厳しくなる
・ただし、短期的にはオリンピックまでは希望が持てる

という考え方でした。

 

つまり、オリンピックには経済効果が期待されていたわけです。

「なぜ、
オリンピックには経済効果が期待されていたのでしょうか?」

 

それは、
過去の記憶です。

すなわち、

 

1963年〜1964年の「オリンピック景気」という記憶

 

戦後の日本復活を世界に大々的に知らせることができた
1964年の東京オリンピック。オリンピック開催に向けて
たくさんの社会資本が造られました。たとえば、

 

・東京と名古屋を結ぶ東海道新幹線

 

・羽田空港そのものの拡張
・羽田空港から都心までの東京モノレール
・羽田空港から都心までの首都高速道路

 

・名古屋と大阪を結ぶ名神高速道路
(東名高速道路が先にあったおかげで
大阪から東京まで一気通貫で
高速道路が通った)、、、、

 

このような

「東海道新幹線」「羽田空港」「東京モノレール」
「首都高速道路」「名神高速道路」、、、などは、
57年経った2021年現在でも、毎年の経済収支が黒字です。

 

つまり、

 

1964年の東京オリンピック開催に向けて造られた
社会資本は、たとえ建造・整備するのに巨額のお金が
かかったとしても、その後、10年・20年・30年、、、と
ずっとプラスの収益を生み続けました。

 

多くの「人」「物」「お金」の移動を、毎年・毎年57年間で促進した

まさに、「日本の宝」とも言える社会資本となりました。

 

ゆえに、1964年の東京オリンピックは短期的にはもちろん、
長期的には日本に計り知れないぐらい大きな経済効果をもたらした
ことになります。

 

では、
57年経った2021年の東京オリンピックの場合はどうでしょうか?
何にお金を使っているのでしょうか?

 

・新国立競技場
・東京アクアティクスセンター(競泳など)
・有明アリーナ(バレーボールなど)
・東京体育館(卓球)の改修、、、

 

あまりの国家戦略のなさに、思わず
「ハァ・・・」とため息が出てしまうような
お金の使い方、です。

 

まさに、
たった2週間、一夏のオリンピックのためだけに
お金を使っている感じです。「投資 対 効果」は最悪。

 

1964年の東京オリンピックが、戦後:日本の復興の象徴であり、
海外のゲストを迎えるために、「羽田空港」「東海道新幹線」
「東京モノレール」、、、などを整備していたのとは
あまりに対照的なお金の使い方、です。

 

今回のオリンピックにおける長期的な経済効果は
全く期待できない

 

経費が3兆円〜4.5兆円かかった上で、
開催することで、どれだけ経費を回収できるか、、、という
単なる一夏のイベントというのが経済的な観点からの分析になります。

 

それでも、
敢えて「オリンピックを開催したほうがいい!」という
経済界からの意見があるのは、長期的な論理的な「投資 対 効果」
という視点からではなく、

 

景気への【刺激】

 

に期待があるからです。

景気というのは、文字通り「気分」という要素があります。

日本には、家計部門だけで1000兆円もの現預金があります。

 

お金はある。ただ、消費が抑えられている。お金はないわけではなく、
動かない。理由は、人が動かないから。

 

なので、
昨年2020年末、「Go To トラベル」という政策で、
国が「みなさん、旅行をしましょう!」という【お墨付き】を
与えたことで、一気に、人が移動して、お金も循環しました。

 

オリンピックに期待されているのは、論理的な「投資 対 効果」という
明確な経済効果ではなく、

 

「コロナは底打ちして、オリンピックを開催できるまでになりました!!」

 

という「気分の転換」効果。

 

気分の問題なので、経済効果として正確な数字を見積もることは不可能です。
全く効果がないかもしれませんし、人の移動が活発化するキッカケになるかも
しれません。

 

「全く効果がないか」・「大きなキッカケになり得るか」という極めて不確かな期待

 

経済的には、
国家戦略なきオリンピック誘致と言えますが、景気は気分。
たとえ、どんな形であれ「オリンピックを開催してほしい!」という
要望があるのは、

 

気分の底打ちの象徴としてのオリンピック開催への希望

 

だと言って良いと
思っています。

 

オリンピックの経済効果は?

 

今回は以上です。
本日も文章をお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。

 

白坂慎太郎