Shinta corporate site

Newsお知らせ

日産の歴史から学ぶ経営(3)

白坂です、

 

【日産の歴史から学ぶ経営】
(1)ゴーン前:なぜ日産は経営危機に陥ったのか?
(2)ゴーン改革の光と影
(3)ゴーン後:今後の日産のビジョンと戦略

と言うことで、
今回は、

(3)ゴーン後:
今後の日産のビジョンと戦略

【結論】
「選択と集中」をどこまで進められるか?

まず、
直近3年の数字を見ていきます。

売上:
2018年度:11.5兆
2019年度: 9.8兆(マイナス1.7兆)
2020年度: 7.7兆(マイナス2.1兆)【見込み】

最終利益:
2018年度:   3200億
2019年度:赤字:6700億
2020年度:赤字:5300億【見込み】

となっています。
正直、ボロボロです。
ここまで悪くなると、逆に、

開き直れる

もし、中途半端に、
少しだけ売上が下がっているとか、
もう少しで収支トントンとかだったら、、、

努力・根性・気合、、、という精神論で何とか
過去の考え方のままで、懸命にあがくと思います。

しかし、
正直、ここまでボロボロだと、
いい意味で、

諦めるしかありません。

目先の決算書の数字や株価を気にすることなく、
3年後・5年後・10年後、、、の復活を見据えて
経営改革をしていく機会とすることも出来ます。

日産が経営改革をしていく点で、
大きく2つの好材料があります。

1つは、
あくまで赤字は決算書上の赤字であって
現金面では黒字だということです。

決算書、特に「損益計算書」は
納税申告のために義務的に作られているもので、
経営者や投資家が経営を把握するための書類には
なっていません。

損益計算書の場合、
・入金はないのに売上に計上したり、
・支出はないのに費用として計上したり、、、

ということを会計上のルールとしてやっています。
日産の場合、

・売上がなくても、これから1年間で入ってくるお金
(売上債権)が、年間で7千億円。

逆に、
・経費としては計上していても、実際はお金が出ていかない
(減価償却費)が、年間で5千億円以上あります。

だから、
決算書は大赤字だったとしても、
現金の収支で言うならば、かなりの黒字になっています。

なので、経営陣は、
3か月に1回の決算説明会や株価という表面上のことさえ
気にしなれば、将来に向かった企業経営に集中していく
ことができる状況にあります。

日産にとっての
もう1つの好決算は、

電気自動車

です。

過去にトヨタなど競合他社が「ガソリン」と「電気」の『ハイブリッド車』に
注力していた頃に、日産は『ハイブリッド車』に注力せずに、

電気自動車

の開発をやっていたということです。

・世界初でリチウム電池の実験で成功させたのも、
・世界初で量産型の電気自動車を発売したのも、

技術の日産

でした。

電気自動車といえば、アメリカのテスラ社のモデル3が有名です。
しかし、テスラはリチウム電池の発火事故を何度か起こしたという
過去の歴史がありますが、日産は今まで電池の発火事故を
報告したことがありません。まさに、

技術の日産

です。

25年以上前に始めていた電池の実験が、去年2020年から
ついに報われようとしています。電気自動車は、環境に優しい
自動車ということで、どの自動車会社にとっても等しく機会に
なっていますが、

日産という技術面での一日の長があります。

広告・宣伝・販売促進、、、という課題はあるものの、
電気自動車という商品そのものでは、世界の中で1位になれる
潜在的な能力を持っています。

このように、
・現金という資金の流れは大丈夫
・電気自動車に対して優れた技術を持っている

という2つの好材料が
日産にはあります。

なので、

短期的な業績は、いい意味で諦めて、
少なくても、3年後・5年後・10年後、、、に向けて
経営革新をする機会です。最も重要なことは、

【選択と集中】

です。
たとえば、

日産はルノーと提携しています。
であれば、ヨーロッパはルノーに任せて日産は撤退する。
そして、機会のある「日本」「アジア」「北米」の3か所に
集中する。

そして、
日産は69車種を55車種に減らすと発表していますが、
55車種でも、まだ・まだ多過ぎます。消費者が55車種もの中から
比べるということはあり得ません。

たとえば、
時価総額1位のアップルは、売上の半分が「アイ・フォーン」です。
全ての商品・サービスを合わせても、商品数は10未満の1桁です。
理由は簡単で、

消費者は1つの企業に対して複数のイメージを同時に持てないから

・アップルは、アイ・フォーンの企業で
・グーグルは、検索エンジンの企業で
・アマゾンは、電子商取引の企業で、、、

理想は、たった1つ。
現実的には、10未満の1桁。

日産の55車種は、どう見ても、まだ多過ぎます。
極論、電気自動車で、

リーフだけで勝負

くらいの【選択と集中】をした方が経営は上手くいきます。
消費者からして、

>「電気自動車と言えば日産だよね」
>「日産といえば、リーフだよね」

と、たった1つのことを覚えてもらう。
もちろん、車種数を減らせば売上は一時的には減ります。
でも、経営で大事なのは売上ではありません。大事なのは、

・利益であり
・利益剰余金であり
・現預金の増加、です。

決算書の数字が、ここまでボロボロに落ちてしまったら、
潔く落ちるところまでトコトン落ちる。目先の売上を取りに行かない。

いい意味で諦めて、3年後・5年後・10年後、、、に利益面で
持続的に成長するための種を巻く。日産は「技術の日産」。
商品そのもので勝負する。割合として少ない広告宣伝費を
色々な車に使うのではなく、1点集中、1つの商品の販売だけに投入する。

【ピンチ=チャンス】

危機だからこそ、思い切ったことをやれる。
過去に執着せずに、未来に向かって最善のことを
合理的に選ぶことも出来る。

(3)ゴーン後:
今後の日産のビジョンと戦略

【結論】
「選択と集中」をどこまで進められるか?

もし、
>「電気自動車と言えば日産だよね」
>「日産といえば、リーフだよね」

という、ゴールから逆算での「ブランド戦略」を
実行することが出来たら、技術の日産は、再び

飛躍を遂げられると分析しています。

【日産の歴史から学ぶ経営】
(1)ゴーン前:なぜ日産は経営危機に陥ったのか?
(2)ゴーン改革の光と影
(3)ゴーン後:今後の日産のビジョンと戦略

今回は以上です。
本日も文章をお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。

 

白坂慎太郎