【三菱UFJ】スピード融資に中小・個人が殺到
浅川です。
白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。
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【三菱UFJ】スピード融資に中小・個人が殺到
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> 新型コロナウイルスの感染拡大による資金繰り難を受け、中小企業が迅速に資金を確保できる融資の利用が増えている。三菱UFJ銀行では人工知能(AI)が審査し、最短2日で実行する融資への申請が急増。(2020年3月25日付『日本経済新聞』より一部引用)
■なぜ「スピード融資」が増えたのでしょうか?
まず、融資に関して、企業と三菱UFJ銀行がどのような関係になっているかを考えてみましょう。
・中小企業、または個人事業主が三菱UFJ銀行に融資の申し込みをする
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・三菱UFJ銀行が審査をする
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・三菱UFJ銀行が融資をする
このような関係になっています。この融資の審査に関して、今回のニュースでは人工知能、つまり「AIにやらせている」ということが特徴的です。今までであれば、次のように「人」が審査していました。
・中小企業の社長(または個人事業主)が書類を書き、提出し、申し込みをする
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・三菱UFJ銀行の融資担当者が決まり、社長と面談をする
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・三菱UFJ銀行の担当者が「融資をするか・しないか?」の判断をする
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・三菱UFJ銀行が「融資をする」という最終判断をする場合:融資される
これが従来の流れでした。この中で、「融資担当者」の役割を、人工知能・AIにやらせることになります。もし、中小企業や個人事業主が三菱UFJ銀行の通帳を持っていれば、今までどのようなお金の履歴なのかがわかります。そこで、最短だと「2日で融資できる」という形になっています。
やはり、今年、2020年2月、3月は、コロナウイルスのニュースがあり、世界中の人が外出を自粛するようになりました。イベントなどもどんどん自粛や中止、休止することが相次いだので、中小企業や個人事業主の中で、月末、特に3月末の資金繰りが厳しくなりました。
その時に、従来であれば、融資の審査に3週間や1ヶ月かかっていたものが、「書類の手続きが不要」になり、2日で融資できることになれば、月末までの資金繰りのために、お金を融資してもらいやすくなります。それにより、融資のお申し込みの数が、従来の3倍になったということです。
■三菱UFJ銀行にとって、本格的な事業参入?
今回のニュースは、三菱UFJ銀行にとっては、まだテスト段階だと考えられます。本格的に、「今からやるかどうか」をテストしている段階ではないかと思われます。
それは、資の最大金額が1,000万円になっているからです。従来よりも3倍の方々がお申し込みをして、AIによる審査の後、融資が実行されているというのは従来の2倍です。ですから、審査で融資が通らず、実行されないということがあるのですが、融資が実行される場合の最大金額は1,000万円です。
ということは、中小企業・個人事業主が1,000万の融資を受けると言うことなので、その規模は「小さい」と言えます。本当に月末の資金を回すための、急場しのぎの資金が融資の対象になっているのです。
三菱UFJ銀行にとって、この金額はあまりにも小さいものです。仮に、全社に満額の1,000万を融資して、それを1カ月で500件実行すると、次のような掛け算になり、合計で50億円という数字になります。
・1,000万円 x 500件 = 50億円
これに対し、三菱UFJ銀行が、預かっている預金の金額は180兆円です。180兆円預かっている三菱UFJ銀行が、50億円を融資することになっても、三菱UFJ銀行という企業の業績からすると、ビクともしないほど小さな規模となります。
すると、この1,000万円を中小企業・個人事業主に融資し、その後、この借りた中小企業・個人事業主の方々が「どれくらいの割合で全額返済をできるのか? 完済してくれるのか?」 ということをおそらく見ている段階ではないだろうかと思います。
今回は、人工知能が「大丈夫です」「この方々なら、この企業なら、完済してくれる可能性が極めて高いです」と判断をして、サービスで最大1,000万円で融資している形です。果たして、それが本当に「大丈夫だった」、つまり「完済してもらえた」ということであれば、この人工知能の判断は、かなり正確だったことになります。
たとえば、最大1,000万円の融資金額を、この先2,000万、3,000万、5,000万、1憶、2憶、3億と上げて、もう少し大きな規模の企業に、同じように人工知能・AIで融資をする形で大きくしていくための、最初のテスト段階としてやってるのだろうと推測されます。
■今回のニュースから学べることは?
私たち投資家が今回のニュースから学べることは、規模を確かめる時は「掛け算で」確かめることが大事だということです。事業が発表された時に、次のことを考えることが大切です。
・その企業が、どれくらい本気でやろうとしているのか?
・その企業の業績に、影響を与えるほどの規模なのか?
・まだ単なるテスト段階なのか?
これらを確かめるために、「掛け算をして確かめる」ということが今回のニュースから学べることだと感じています。
今回では「1,000万円を1カ月で500件実行したとして、いくらになるのだろう?」という掛け算をすることによって、規模感がわかります。それにより、その企業がどれぐらい本気で取り組んでいるのか、それとも、まだテスト段階なのかということを判断することができます。そのような視点の重要性が、この出来事・ニュースから学べることだと思っています。
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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。
浅川淑子(あさかわよしこ)
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