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巨大NTT復活にauとソフトバンクが待った!

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

 

巨大NTT復活にauとソフトバンクが待った!

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巨大NTT復活にauやソフトバンクが待った!

 

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> 総務省が昨年末に打ち出したNTTグループによる通信関連機器などの共同調達を認める方針を受け、KDDI(au)やソフトバンクなど通信約30社が近く、反対の意見申出書を高市早苗総務相に提出することが26日、分かった。(2020年1月26日付『産経新聞』より一部引用)

 

 

■そもそも「巨大NTT」とは何を意味するのでしょうか?

 

まず、通信業界の現状についておさらいしましょう。1980年代まで、情報通信業界はNTTの1社でした。経済学的には【独占】という状態です。消費者から見れば、固定電話を提供している企業がNTTだけであれば、次のように不利益を被りやすくなります。

 

・消費者「固定電話を使いたい」

・NTT1社しか固定電話を提供していない

・消費者「NTTの固定電話を使うほかかない」

・価格はNTTの言い値になる

 

経済学的には、この状態であれば【競争】を促します。競争相手が出てくれば、消費者は価格が安い方を選ぶことができるからです。競争相手が多ければ多いほど、価格競争は起きやすくなり、消費者は安い方を選ぶことができます。

 

そこで、通信業界でも競争できるよう、国が強制的にNTTを二つに分けました。それが、次の2社です。

 

・NTT

・NTTドコモ

 

NTTは、NTT東日本・NTT西日本などのグループで協力して材料や部品を一括購入する【共同調達】をして、大量に安く調達し、経費を抑えるようにしました。しかし、総務省はその【共同調達】を禁止して、新しくできたNTTドコモを守ろうとしました。総務省は、NTTどNTTドコモで競争させて価格を下げ、消費者の利益を増やそうとしたのです。その後auが参入し、ソフトバンクが参入しました。それが現状です。

 

では、今回の「巨大NTT復活」とはどのようなことでしょうか? それは、総務省がNTTに対し、禁止していた【共同調達】を再び許可したことです。

 

NTTは国が株主で、財務大臣が株を30%持っています。かつては、NTTの力が強くなりすぎたため、総務署はドコモと分割をしましたが、再びNTTの力が弱ってきています。そこで、【共同調達】を許可したところ、auとソフトバンクがクレームを出したというニュースです。

 

 

■なぜ、共同調達を復活させたのでしょうか?

 

今回は、国内の競争相手が「不公平だ」とクレームをしたというニュースですが、それは物の視野が狭くなっていると考えられます。そのためには、海外にも目を向けることが大切です。今の通信業界の時価総額を見てみましょう。

 

<日本>

・NTT:時価総額10兆円

・NTTドコモ:時価総額10兆円

・合計:時価総額20兆円

 

<海外>

・アメリカの通信会社 AT&T:時価総額30兆円

・アメリカの通信会社 ベライゾン:時価総額27兆円

 

世界一の通信会社は、発明家のベルが作ったAT&Tです。アメリカには、NTTとドコモを合わせてもまだまだ大きい会社があります。それを考えると、「巨大NTT」が復活しても、世界では決して巨大な企業ではありません。そこに気付く必要があります。

 

かつて固定電話が一家に一台あった時代、NTTは成長しました。しかし今はそのような時代ではありません。NTTは、固定電話事業で成長性はなく、インターネット環境や通信環境の事業でしか伸びる可能性がありません。今後、次のように考える必要があります。

 

・日本の総人口が減る

・消費者は固定電話を使わなくなる

・成長するための別事業に目を向ける必要がある

・海外に目を向ける

 

現在、NTTの海外売り上げは4%に過ぎません。総務省から見れば、NTTの力を強め、海外で戦える企業にしなくてはいけません。auは、今、うまく行っていないのでクレームを出しますが、総務省はNTTを強くするために次のように考えています。

 

・NTTを強くしたい

・経費を下げて利益を出せるようにする

・グループでの共同調達を許可し、経費を下げる

・競争力をつけ、海外で勝負する

 

このように、海外での競争力を高めるために、国内の競争相手のクレームによらず、NTTを強くする必要がある、という点にニュースの本質があります。

 

 

■今後の通信業界は?

 

総務省は、日本全体の通信環境を良くしたいという考えがあります。NTTという大きな企業の力が弱くなることを望んでいません。しかし、auも、ソフトバンクも、日本の総人口が減るのは同じですから、黙って見ているわけにはいきません。

 

今回の共同調達は認められる可能性が高いため、競争力が高まるのは企業にとっては厳しい状況ですが、次のようなことが出てくるきっかけになります。

 

・価格を見直す

・商品を見直す

・新商品・新サービスを出す

 

業界の3社が厳しい環境に置かれるだけ、消費者にとっては価格が安くなるなどの便益が大きくなると言えます。

 

 

今日のまとめ・・・・・・・・・

 

総務省が「巨大NTT復活」を認めたのは、日本の総人口が減る中、NTTの力を強め、海外での競争力を高めるためです。ニュースの本質を知るためには、国内だけではなく、海外の状況も知り、視野を広く持つことが大切です。

 

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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