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黒字リストラ9100人

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

 

黒字リストラ拡大

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黒字リストラ9100人

 

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>好業績下で人員削減策を打ち出す企業が増えている。2019年に早期・希望退職を実施した上場企業35社のうち、最終損益が黒字だった企業が約6割を占めた。これらの企業の削減人員数は中高年を中心に計9千人超と18年の約3倍に増えた。(『日本経済新聞』より引用)

 

 

■今回のニュースの重要な意味は?

 

「リストラ」と聞くと、どのような印象を抱くでしょうか? 実は、日本とアメリカではリストラに対する印象が異なります。

 

日本の企業は、年功序列で終身雇用が大半です。日本は株主と従業員であれば、従業員の心理を大事にする人が多く、リストラに対し「長年働いていたのに辞めさせられてしまう」と、【ネガティブ】な印象を抱きがちです。

 

でも、株主にとってリストラは【ポジティブ】な側面があります。なぜなら株主は、自分が投じた資金がいかに効率よく使われるかを考えるためです。たとえば、資金100万円がある場合、以下の2社ならどちらに投資するでしょうか?

 

・A社:100万円 → 110万円に増える

・B社:100万円 → 120万円に増える

 

効率がいいのは当然B社ですから、「B社に投資する」と判断します。そのため、少ない人件費で、同じ売り上げを上げる経営者を優秀だと考えます。リストラは人件費を下げて、売り上げを上げる一つの方法ですから、アメリカの投資家はリストラを【ポジティブ】なニュースだと捉えます。

 

このように、今回のニュースからは「リストラ」という出来事に【ポジテイブ】【ネガティブ】という両方の側面があることを学べます。

 

 

ここで、時代は常に変わり続けていることを知るのも大切です。実は、日本とアメリカでは反対の流れがあります。

 

20世記、アメリカの企業は社員に対して比較的ドライな面がありましたが、日本の企業は「年功序列、終身雇用」「社員はみな家族」という形でした。

 

21世記になると、流れが逆転します。日本は「年功序列、終身雇用」が維持できなくなり、このままではグローバルな競争で勝ち残れないと、ドライなアメリカのやり方に近づいています。一方、アメリカは、日本のように社員を家族のように大事に捉え、福利厚生を充実させる企業が増えています。

 

リストラは、グローバル企業に成長するための一策でもあるため、一概に「ポジティブ/ネガティブ」では判断できないのです。

 

 

■なぜ、黒字でもリストラをするのでしょうか?

 

業績が上がっている黒字企業でも、次のような考えでリストラに踏み切っています。

 

・業績が好調

・将来的にはもっとネットや仕組み、システムに設備投資したい

・設備投資の資金を増やしたい

・人件費を圧縮して利益を増やせるよう、リストラへ

 

特に報道では、薬事・薬局・製薬会社などの製薬業に黒字リストラが多いと言われています。

 

 

では投資家は、黒字リストラの会社をどのように捉えているのでしょうか?

 

日本の投資家から見ると、黒字リストラの企業は「投資対象として考えにくい」と判断する傾向があります。次のような考えからです。

 

・リストラで「希望退職」を募る

・優秀な人ほど率先して辞める

・仕事ができない人ほど会社にしがみつこうとする

・会社の中にいい人材が減る

 

以上から、たとえ将来に向けた設備投資に向けたリストラでも、いい人材が残らない以上、投資案件としては考えにくくなるのです。

 

 

ここで、日本の【テンポが遅い】一面が見られます。

 

かつて20世紀の場合は、投資家はドライなリストラをやっている会社に対しプラスの評価をしてきました。しかし、今はそういう時代ではありません。お金と人の価値の逆転現象が起きているためです。

 

<20世記>

・労働の売り手 < 労働の買い手 → 雇う側が強かった

・「人」の価値 <「お金」の価値 →  高い給料に価値がある

 

<現在>

・労働の売り手 > 労働の買い手 →  働く側が強い

・「人」の価値 > 「お金」の価値 →  人に対する労働条件に価値が高い

 

黒字リストラは、退職金を増やすなど、20世記のように「お金」の価値を優先しています。今は、【優秀な人材をいかに育成していくか】に価値があります。価値が高いものを優先しなければ利益は上がらないので、希望退職でいい人材が抜けていく企業は、「この先厳しい」と考えられます。

 

ただし、日本の企業が、国内だけではなく、世界中に展開するグローバル企業に成長したいと考える場合、黒字リストラに踏み切る企業は、決算書の数字は良くなっていくので、今後増えていく可能性があります。

 

 

■労働者の立場で大切なことは?

 

リストラで希望退職を募ると、優秀な人が率先して辞めるのは【時代の流れがわかっているから】です。たとえば、メガバンクが3万人以上の希望退職を募る場合、率先して辞めていくのは、【この先、銀行業界がどうなるかわかっている人たち】です。

 

個人レベルでアンテナを立てていれば、「いつもよりも退職金をたくさんもらえる」という機会に、喜んで辞めるという選択ができます。そして、「新しい業界や新しい業種の会社に行ける」とポジティブに捉えることもできます。

 

そのために、個人では常にアンテナを立てることが重要であり、次の二点が必要です。

 

1)常に新しいニュースを見ること

2)常に基礎・基本を学ぶこと = 経営の基本、経営学、お金の基本、経済学など

 

基本を知っていれば、どの業種・どの企業であっても、【成長期・成熟期・衰退期】があることがわかります。基本に照らし合わせてニュースを見ることで、自分の会社や業界の流れを知ることができ、アンテナを立てることができるのです。

 

今日のまとめ・・・・・・・・・

 

黒字リストラには、ネガティブな側面とポジティブな側面があります。優秀な人にとっては、次に新しい業種に行けるポジティブなニュースです。人の価値が高い今、経済の基本を知り、新しいニュースを見て、時代の流れを把握することが大切です。

 

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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