コンビニ初の店舗数減少へ
浅川です。
白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。
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コンビニ初の店舗数減少へ
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>日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が20日発表したコンビニエンスストア大手7社の2019年12月末の店舗数は5万5620店と、18年12月末に比べて123店減少した。年間の統計で店舗数が前年末実績を下回るのは、現在の方法で統計を取り始めた05年以来、初めて。(『日本経済新聞』より引用)
■なぜコンビニは減っているのでしょうか?
・「店舗数が増えすぎたから」?
・「利用者が減っているから」??
・「消費税が10%に上がったから」???
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いずれも正解と言えます。でも、統計を見ると、最大の理由は違います。
最大の理由は、「後継者がいないから」です。
日本のコンビニは、今から46年前、1974年にセブンイレブンが1号店を出店したのが始まりです。当時30代でオーナーになった人は今、70代を迎えています。年齢が上がり、体力的に厳しくなり、24時間営業を続けられくなり、後継者も見つけられず廃業を迫られています。後継者不在の問題はコンビニ業界によらず、日本の全業種の廃業・倒産の最大理由にもなっています。
では、この状態になることを、コンビニ本社やオーナーは事前に予測していなかったのでしょうか?
確かに、いずれ後継者不足が生じることは事前に予測できます。しかし、人間はそう簡単には動けません。全速力で走り続けたら壁にぶつかることはわかっているのに、「頑張り続けていたら、いつかきっとそのうちに良くなるだろう」と楽観視し、手を打たずに続けた結果、次のような状態になったことが考えられます。
<オーナー30代>
・コンビニを開業
・気力・体力・やる気があり、売り上げが上がる
↓
<オーナー40代・50代>
・30代と変わらぬ気力・体力で頑張り続ける
・「いつか楽になるだろう」と思いながら深夜営業もこなす
↓
<オーナー60代>
・そろそろ体力の厳しさを感じる
・人を雇いたいが、人件費がかさみ、雇えない
・自分が深夜営業をこなすのも限界を感じる
↓
<オーナー70代>
・体力的に限界に達する
・後継者もいないため、閉店を迫られる
この状態に達する前に後継者を入れるのが理想ですが、オーナーは現場に立ち続けることに喜びを感じる傾向があります。早い段階で手を打つことができずに、今に至っているというのが現状です。コンビニが日本に上陸して46年。これまでのビジネスモデル自体に限界が来ていると言えます。
■コンビニ各社の後継者問題への対応は?
コンビニ各社は、不採算店の閉店や移転を検討し始めています。オーナー自ら「24時間続けられない」という声を上げたことで初めてコンビニ本部が対策を始めた状況です。
そもそも、コンビニ本部とオーナーは、契約上は対等な関係です。しかし、実質的に上下関係があるため、オーナーが「高齢だから辞めたい」と言っても本部が強硬な姿勢をとり、対応が後手に回りました。
コンビニ本部は今後、できるだけ店舗数を残せるよう取り組みを始めています。ただし、本部が直営で店舗を運営すると、人件費の負担などで利益が出しにくいビジネスモデルであり、有効な手立てを考えられていません。
今後、コンビニにとって、ドラッグストアが脅威になり得ます。ドラッグストアは、駅前の便利なところに出店するなどで店舗数は増えています。消費者から見れば、コンビニかドラッグストアかという選択肢が増え、便利になっている一方、コンビニにとっては厳しい状況が続くといえます。
■投資家から見て、コンビニ業界の行く末は?
投資家にとって大切なことは、【大きな流れを見ること】です。投資家は、どんな業態であっても時代の流れとともに、創業期、成熟期、衰退期という流れを理解しています。そこで今、コンビニ業界は「どの流れにあるのか」という点に注目することが必要です。流れを理解するためには、コンビニがどのように始まったのか、過去に遡る必要があります。
・個人商店(肉屋・八百屋・魚など)を経営する
↓
・スーパーマーケットができる
↓
・消費者「食料品が1カ所で買えて便利」とスーパーを利用し始める
↓
・スーパーマーケットの衰退で、個人商店の売り上げが下がる
↓
・24時間営業のコンビニが上陸する
↓
・個人商店が、スーパーに負けない店舗経営としてコンビニのオーナーになる
↓
・消費者「コンビニは便利だ」と感じる
↓
・コンビニが各地に広まる
このような流れでコンビニは拡大しましたが、現在はビジネスモデルが限界に達し、成熟期から衰退期に入っています。アメリカでは、人手不足を解消するために無人コンビニを開発しており、日本も普及するかどうかが注目されています。これからの時代、どのような流れになるのか、常にアンテナを貼ることが大切です。
■今日のまとめ・・・・・・・・・
コンビニ減少の最大の理由は、後継者不足です。オーナーが「24時間営業が難しい」という声を上げる最近まで、コンビニ本部は対策をしていませんでした。今後、不採算店を閉店・移転することが考えられますが、コンビニのビジネスモデルに限界が来ていると言えます。
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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。
浅川淑子(あさかわよしこ)
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