【KDDI】5Gサービス開始 利用者の獲得競争が激化か?
浅川です。
白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。
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【KDDI】5Gサービス開始 利用者の獲得競争が激化か?
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■競争の激化はする? しない?
KDDIが5Gをスタートすることで、業界の競争は激化するのでしょうか? 結論から言うと「あまり関係がない」と言えます。要するに、NTTドコモ、KDDI、そして softbankの競争が、KDDIが5Gサービスを開始したことが競争激化の要因にはなってない、ということが結論になります。
なぜかと言えば、まず業界としてこの通信事業というのは次の3社がやっていることが前提にあります。
・NTTドコモ
・KDDI
・ソフトバンク
ソフトバンクは5Gサービスを始め、NTTも始め、KDDIも始めたということであれば、もうほとんど同じ条件になっています。
そうした時にまず1つ、料金が圧倒的に3社の中でどこか1社だけ、例えば半額以下とか、そういう思い切った価格に差があるというのであれば、それは競争環境が激化する要因になります。もしくは、全く繋がる範囲が全然違うのであれば、競争環境が激化の要因にはなります。
たとえば、ソフトバンクは東京でしか繋がらないけれども、NTTは全国でつなる、ということであれば、明らかに差があります。そうしたら、競争は激化する要因にはなります。でも、多少の料金の違いがある、サービスプランの違いがある、そしてつながり具合の違いがあるとしても、一般の消費者からすれば、そこまで見分けがつくほどの極端な差ではないのです。
料金もかなり近い料金体系で、プランの違いも、一般の消費者が「NTTはこういうプラン」、「KDDIはこういうプラン」と、はっきりと3社を見比べて、それで判断できるほど違いがあるわけでもないのです。
繋がりやすさに関しては、5Gが始まった現時点では若干差がありますが、しかし今からの1年から1年半くらいでは、ほぼ3社と同じような状況になるということで考えると、今回KDDIもソフトバンク、NTTに次いで5Gサービスを始めたということが、すなわちこの環境の「競争の激化」要因にはなってないというのが結論です。
■競争が激化するかを判断する材料は?
競争環境はこの3社の業界内だけで見ていても、よく見えてくるものではありません。競争環境というのは、もっと全体を見て、それで競争が激化しているか、緩いかを見ることが大事です。
これはあくまでも1つであり、あと4つを全体として見ていくことが非常に大事になっていきます。すなわち、以下の5つです。
1.「仕入れ先(総務省)」
2.「業界内(NTT、KDDI、ソフトバンク)」
3.「販売先(消費者)」
4.「新規参入」
5.「代替品」
この5つの関係、利害関係というのを全部見ることで初めて、競争が激化していっているのか?それともゆるいのか?を見ることができます。
この枠組みは、ハーバード大学のマイケル e ポーター教授が提出した「5つの力:5フォース」という考え方に基づいて説明しているのですけれども、「全体を見る」ということが大事です。
今回の、「業界内(NTT、KDDI、ソフトバンク)」というところだけでみると、結局NTT、KDDI、ソフトバンクで解約率というのはわずか1%なんですね。1回NTTで契約した人が、実際解約して他の他社に乗り替える可能性というのは1%ということです。
残り99%の人は、一回最初に契約したところでずーっと基本的には使い続けるというのが現状なんですね。やはり「手間」がかかるからです。
たとえば「NTTドコモで契約しました」。それを解約に行って、今度はKDDIで新規契約というのは一般消費者からすると非常に手間になります。
その手間をかけるほどの価格の差があるか、プランの差があるということであれば別なんですけど、正直かなり似たような料金体系で似たようなプランだから、わざわざ解約手続きに行って新規契約に行くという手間をかけるほどではないというふうに99%の消費者が考えています。
だから、「業界内(NTT、KDDI、ソフトバンク)」の中だけではなく、競争というのは激化していかないという事です。
もし、競争が本当に激化するということであれば残り4つの力
「仕入れ先(総務省)」
「販売先(消費者)」
「新規参入」
「代替品」
が業界に働いたときだけが競争が激化していくということなんです。
たとえば5Gサービスというのは総務省からの認可というのが必要になってきます。例えばもし総務省が法律を何らか改正して、その認可基準を変えてこの3社にプレッシャーをかけたということであれば、これは胸像のできた要因になります。
今までの法律であれば、今まで通り通信事業がやれていたけれども、認可先である総務省が何らかの法律を改正したとか、規制を強化したということになり、今まで通りでは事業をやることができないということになれば、「仕入れ先(総務省)」からの圧力ということによって「業界内(NTT、KDDI、ソフトバンク)」の競争が激化するということはあり得ます。
もしくは販売先の5Gサービスというのが、実際に購入してくださる消費者、もしくは法人、こういったところがなんらか力をもっと持って、例えば価格交渉力を持ったとかそういうことになれば「業界内(NTT、KDDI、ソフトバンク)」の競争は激化します。
今までであれば、この条件で買ってくださっていたのに、消費者の方が力が強くなって、もしくは法人の方が力が強くなって同じ条件ではもう全く購入しなくなったという、そういう科学交渉力みたいなのをつけた場合は競争が激化する可能性があるという、もしくは新規参入ですね。
1番わかりやすいのは楽天という企業になりますが、今まで大手3社でやってたんだけれども楽天という新規参入が入ってくる。しかもこの3社の半額くらいで月額料金で入ってくるということになれば、この新規参入のニュースというのは競争激化の要因にはなるという、最後は代替品ですね。 5Gサービス、もしくはスマートフォンの代わりの商品サービスが出てきた場合です。
今までであれば、スマートフォンを使っていた人、が何らかの代替品が出てきたことによって、スマートフォンを使わなくなるということです。
例えば、オフィスコンピューターの代わりにパソコンが出てきたとか、パソコンの代わりに携帯電話が出てきたとか、携帯電話の代わりにスマートフォンが出てきた、、、という感じでスマートフォンの代わりの何か代替品というのが出てきた、もしくは5Gサービスの代わりの何らかの代替サービスが出てきたということであれば、「代替品」からの圧力によって競争が激化するということが起きます。
ですから、競争激化しているか、していないか? ということは「業界内(NTT、KDDI、ソフトバンク)」だけを見ててもなかなか見えてきません。もちろんこの3社の中で、NTT、KDDIに比べてソフトバンクは料金半額ですとか、そういう思い切った差があれば別ですが、3社を見比べたときにそれほど琉金とかプランに大きな差がないということであれば、今回のKDDIの5Gサービス開始というのは、それほど大きな競争環境の激化という要因にはなってないと言えます。残りの4つに注目することで、本当の意味で競争激化しているのかどうか?ということがわかります。
■今回のニュースから学べることは?
競争が激化すればするだけ、消費者にとってはプラスがあります。料金が下がりやすくなるし、サービスが良くなっていくようなことになるので、競争激化=消費者にとってのプラスということになるわけですけれども、本当に競争が激化してるかどうかっていうのはここ(業界内)だけを見ててもわかるものではなく、以下の残り4つの全体を見ていくということが大事になります。
・「仕入れ先(総務省)」
・「販売先(消費者)」
・「新規参入」
・「代替品」
もし、私たちがこのニュースから学べることがあるのであれば、競争環境というのは業界だけを見るのではなく、もっと広い全体を見ていくということの重要性を、改めて一緒に学べたらと思っています。
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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。
浅川淑子(あさかわよしこ)
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