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企業の究極の目的は何か?

白坂です、

 

ベストセラー:
『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』
からの学びの共有になります。

本の内容のネタバレを含みます。
予めご了承ください。

『ザ・ゴール』では、
「企業の究極の目的とは何か?」の問いに対して、
直球で

儲け続けること

と定義しています。
流石、著者がイスラエルの物理学者らしい
これ以上ないくらい分かりやすい定義です。

そして、
これは現実にも合っています。
たとえば、企業の所有者は株主です。

企業の所有者である株主が求めているのも、
企業が儲け続けること。利益を出し続けること。

企業の評価である時価総額とは、
「その企業が今後どれくらい利益を出すか?」の指標です。
さらに、株主は企業が出した利益の一部を配当として
受け取ります。

今後の将来において企業が利益を出し続けると
思うから株主は企業に出資をするわけです。
その点から考えても、「企業の究極の目的は何か?」の
問いに対して

儲け続けること

というのは、
極めて分かりやすい定義です。

【生産的であるとは、儲け続けるということに対して
どれだけ生産的か?】

『ザ・ゴール』の最も画期的なところは、
だからこそ、

1人・1人みんなが全力で頑張ってしまうと
企業は【非】生産的になってしまう。

という考えを出しているところです。
これは、従来の常識の真【逆】と言ってよい考え方です。
価値観を転換させる考え方です。

普通の常識では、
1人・1人、、、みんなが頑張ったら、
企業全体の生産性が上がる、、、と考えます。

たとえるならば、
1本・1本の木がそれぞれ素晴らしいから
森全体も良くなるはず、、、という「足し算」の
考え方です。

・Aさんが頑張って全力で仕事をしている
・Bさんも頑張って全力で仕事をしている
・Cさんも頑張って全力で仕事をしている、、、

だから、
・企業全体も良くなる、、、という考え方が
いわゆる常識です。しかし、『ザ・ゴール』では、

1人・1人みんなが全力で頑張ってしまうと
企業は【非】生産的になってしまう。

つまり、
企業全体から見たら、頑張らない社員もいた方が良い

という考え方を提唱しています。
あまりに常識とは違うので、なかなかすぐには
腑に落としにくい考え方です。

「なぜ、1人・1人みんなが全力で頑張ってしまうと
企業は【非】生産的になってしまうのでしょうか?」

理由は、
各工程での生産能力が違うから、です。

たとえば、
3つの工程(A・B・C)を、それぞれ、
Aさん・Bさん・Cさんが受け持っているとします。
すなわち、

A→ B→ C(完成)

という工程です。

普通の常識だったら、
・AさんはAという工程を全力で頑張って仕事をし、
・BさんはBという工程を全力で頑張って仕事をし、
・CさんはCという工程を全力で頑張って仕事をし、、、がちです。

しかし、
これだと、

企業は【非】生産的になってしまう

理解するために、
具体的な数字を入れてみます。

・Aさん・Bさん・Cさんの3人とも仕事時間は8時間

・Aさんは、自分の作業を1つ完成させるのにかかる時間が1時間
(だから、8時間で8つ完成させられる)

・Bさんは、自分の作業を1つ完成させるのにかかる時間が2時間
(だから、8時間で4つ完成させられる)

・Cさんは、自分の作業を1つ完成させるのにかかる時間が4時間
(だから、8時間で2つ完成させられる)

A→ B→ C(完成)

という工程でやっている、
この企業において、であれば、
「この企業で1日:8時間で完成させられる仕事はいくつなのか?」
ということです。

2つ

たとえ、
Aさんが1日で8つ完成させたとしても、
Bさんが1日で4つ完成させたとしても、

企業として完成させられるのは1日で2つ、だけ

です。

にも関わらず、もしAさんが全力で仕事をやり続けたら、
Bさんの前に、未完成の仕事がどんどん溜まり続けます。
もし製造業などであれば在庫が溜まり続けます。

そして、
もしBさんが全力で仕事をやり続けたら、Cさんの前にも
未完成の仕事がどんどん溜まり続けます。
もし製造業などであれば在庫が溜まり続けます。

企業で完成させられる仕事が1日2つなのであれば、
Aさん・Bさん各自の頑張りは無駄どころか、かえって
有害にさえなり得る。

企業内で未完成の仕事を増やし続けても、
企業は決して儲け続けることはできません。
まして、企業内で在庫を増やし続けた場合は、
逆に儲けは減り続けてしまいます。だから、

1人・1人みんなが全力で頑張ってしまうと
企業は【非】生産的になってしまう。

ポイントは、
(1)企業の生産性は、
最も生産性の低いボトルネック(工程C)で決まる。

(2)ボトルネック以外の工程が頑張れば・頑張るほど
未完成の仕事や在庫がどんどん溜まる。

(3)結果、企業の究極の目的である「儲け続ける」ことから
どんどん遠ざかり続けてしまう。

と言うことです。

では、
「どのようにすれば企業の目的に近づけて
行くことができるのでしょうか?」
「本当の意味での生産性を上げていくことが出来るのでしょうか?」

(1)ボトルネック(工程C)をどのように活用するかを決める
→ ボトルネックの休憩は企業全体の休憩となってしまう。
(企業全体の生産の中止と同じ。
例:まずはボトルネックを休ませないことを考える)など。

(2)他の工程(工程Aと工程B)は、工程Cの活用方法に
業務を合わせる。

(3)ボトルネック(工程C)の能力を高める。
→ 例:交代制にしてボトルネックを手伝う協力体制を作る
ボトルネックを担当できる人を増やす
機械・ロボット・システム、、、など設備投資をする

ボトルネックの生産能力が上がった時に、
初めて企業全体の生産能力が上がる。

たとえば、
製造→ 集客→ 販売という工程があった時に、
もし、販売がボトルネックになっていたとしたら、
まずは販売の課題を企業全体として集中的に取り組む必要があります。

この販売という工程の課題を解決できていないにも関わらず、
製造が一生懸命に製品を作り続け、集客がとりあえず人をどんどん
集め続けたら、、、

・売れない在庫がどんどん溜まり続け、
・原価や広告宣伝費などがどんどん支出され続けてしまう

1人・1人みんなが全力で頑張ってしまうと
企業は【非】生産的になってしまう

もし、最終工程の販売がボトルネックになっていたとしたら、
その前工程の集客や製造は、販売工程に合わせて業務を
行う必要があります。

企業の究極のゴールは儲け続けることで会って、
必ずしも、1人・1人みんなが全力で頑張ることではない。

日本における生産性とは、あくまで1人・1人の生産性。
たとえば、ある1人が8時間働くとしたら、「その1人の人が
8時間がどれだけ仕事をするか?」に焦点が当たりがち。

「木を見て森を見ず」は最も【非】効率な結果をも生み出してしまう

極論、
ある1人が一生懸命に働いていたとしても、仕事を休みまくって
いたとしても、企業が、その人に対して負担している給与は同じです。

企業の目的は儲け続けることであって、
必ずしも各人一人一人がどれだけ頑張っているか?ではありません。
また、一人一人の頑張りを高めたからといって、必ずしも企業の
利益が増えるわけでもありません。大事なのは、

(1)ボトルネック(工程C)をどのように活用するかを決める

(2)他の工程(工程Aと工程B)は、工程Cの活用方法に業務を合わせる。

(3)ボトルネック(工程C)の能力を高める。
たとえば、
【社長→ 管理職→ 現場】という組織において
【意思決定→ 計画立案→ 実行】という工程になっていたとして、、、

・現場の実行がボトルネックになっていた場合、
社長と管理職は遊んでいた方がよく、

・管理職の計画立案がボトルネックになっていた場合、
社長と現場は遊んでいた方がよく、

・社長の意思決定がボトルネックになっていた場合、
管理職と現場は遊んでいた方がいい、、、ということになります。

従来の常識とは真逆です。
もし、現場社員が遊んでいるのを社長が見たら社長は怒るでしょう。
逆に、
もし、社長が遊んでいるのを現場が見たら現場は怒るでしょう。

それは、
従来の常識では、各人1人・1人が一生懸命に頑張ることが
生産性が高い、、、という幻想を見てしまっているから、です。

1人・1人各人の生産性を上げることだけに躍起になっているあまり、
誰も企業【全体】を俯瞰的に見ることが出来ていない。気がつけば、

・現場に未完了の仕事が溜まりまくっていたり、
逆に、
・社長の前に未決済事項が溜まりまくっていたり、、、
してしまっている。

1人・1人みんなが全力で頑張ってしまうと
企業は【非】生産的になってしまう。

企業の目的は「儲け続けること」。
それは、必ずしも、1人・1人みんなが一生懸命に頑張ること、
とは一致しません。儲け続けるというのは精神論ではありません。
知識・技能・システム、、、として実現していくもの、です。

(1)ボトルネック(工程C)をどのように活用するかを決める

(2)他の工程(工程Aと工程B)は、工程Cの活用方法に業務を合わせる。

(3)ボトルネック(工程C)の能力を高める。

1人・1人の生産性を高めるという部分最適ではなく、
企業全体の生産性を高めるという全体最適に取り組み始めた時に、
本当の意味での生産性革命が始まります。すなわち、

企業の究極の目的である「儲け続ける」を実現していくことが出来ます。

 

今回は以上です。
本日も文章をお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。

 

白坂慎太郎