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なぜ国会議員は預貯金「ゼロ」で申告するのか?

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

 

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なぜ国会議員は預貯金「ゼロ」で申告している人が多いのでしょうか?

 

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2019年7月の参院選で当選した124人の試算報告書が2020年1月6日公開されました。このうち79人が預貯金「ゼロ」と報告しました。(時事ドットコムニュース他)

 

 

■そもそも国会議員が預貯金を申告する必要がある理由は?

 

日本は民主主義であり、政治における主役は国民です。なので、国会議員が不正をしないよう、国民の管理の下に置いているという制度が、議員の資産公開制度の狙いです。

 

日本との比較でわかりやすく、中国の例を考えてみましょう。

 

中国の政治は、中国共産党という一党独裁です。政治家は公務員ですから、大金持ちにはなれないはずです。でも、実際にはものすごく大金持ちの政治家もたくさんいます。

 

それはなぜかと言えば、政治家があまりよくないお金、つまり【賄賂】を受け取っているからです。

 

 

たとえば、建設会社の社長が、中国共産党の役人に「うちの会社に道路工事を発注していただきたいのですが」と、テーブルの下でお金を動かすことがあります。これが賄賂です。

 

日本は道徳心が高い国なので、このような賄賂のやり取りは非常に少ないのですが、中国や東南アジアでは、当たり前のように行われています。

 

明らかに法律違反ではありますが、日本では「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というように、赤信号で渡ってしまうこともありますよね。それと同じような感覚で、中国や東南アジアでは賄賂が当たり前の状態になっています。

 

 

もし日本の国会議員が公務員でありながら、「資産を何千億円持っています」ということになれば明らかにおかしいので、そのような不正が行われていないか、国民に資産を公開しているのです。

 

 

■「ゼロ」で申告するのは節税のため

 

国会議員は資産について正確に申告しないと罰せられます。ですから、本当は資産を持っているのに「ゼロ」で申告すると捕まります。つまり、ゼロで申告しているということは、本当に資産が「ゼロ」だということです。

 

 

では、なぜ「ゼロ」なのでしょうか?

 

これは、中小企業の経営者の心理とほとんど同じです。中小企業の経営者は、売上から経費を引いて利益が残ると、払わなくてはいけないものがあります。

 

それが、【税金】です。

 

利益が残ると、法人税であれば利益の30%を払わなくてはいけません。100億の利益が出たら、税金は30億円になります。

 

それを払わなくて済むよう、中小企業の経営者の中には、いわゆる【節税】をして、わざと利益を出さないようしようと考える人がいます。節税とは次のようなものです。

 

100億円を売り上げる。

会社に必要な経費として100億円を使う。

利益がゼロになる。

法人税を払わなくて済む。

 

 

国会議員の預貯金がゼロだというのは、この節税の感覚によく似ています。

 

日本の税制は、いわゆる「お金持ちからたくさん税金を取りましょう」という制度で、お金持ちには不利な制度になっています。

 

国会議員の場合、所得が多ければ多いほど所得税の税率は高くなります。逆に、所得が少なければ少ないだけ税金を払わなくて済みます。そうすると、「資産は小さいほうが賢い」という感覚になります。

 

だから、国会議員はあまり資産を大きくしないで、税金を払わなくて済むようにしているのです。

 

 

■マイナンバー制度で全資産の実態が明らかに

 

もう一つの理由は、マイナンバー制度と関係があります。

 

マイナンバーは、一つの番号で全ての情報を一元管理しています。銀行口座や株式の証券口座にはいくらあるか、クレジットカードをいくら利用したか、それらの情報を一つの番号で集約しているので、個人のお金の状態が税務署や国税庁にも全てわかるようになりました。

 

国会議員も、A銀行にいくら、B銀行にいくら、土地はいくら、という情報がマイナンバーで全て管理され、税務署は総資産を知ることができます。

 

その資産に対しても多ければ多いほど課税されため、税金を減らすために「資産を多く持ちたくない」という考えになります。

 

今の日本の法律では、所得が2000万円を超えると、自分の資産を全部税務申告するような決まりがありますが、もし預貯金ゼロであれば、資産を税務署や国税庁に申告しないで済みます。

 

なので、たくさん税金を払わなくて済むよう、あえて資産を持とうとしないし、資産を減らしているというのが実態です。

 

 

■資産がゼロの議員を応援したいか?

 

これは投資家として見る場合、「節税している中小企業に投資したいか?」という話に似ています。

 

はたして「国に払う法人税がもったいないから、経費をたくさん使いましょう」という企業を応援したいでしょうか?

 

節税をして「売上100億円、経費100億円、利益ゼロ」という会社は自転車創業で余裕がありません。いつまでも豊かになれません。

 

それと同じように、国会議員も預貯金ゼロでは余裕がないので、就職活動としてまた選挙で当選しなくてはいけません。すると、次の四年後の選挙に自分が当選するようにと、政治も短期目線になってしまいます。

 

ですが本来政治家には、10年、20年と長期で「日本をこういう国にしていきたい」と考える視点が大切です。

 

預貯金ゼロで公開している人たちを、私たち国民は積極的に応援したいかどうかは、よく考える必要があります。

 

 

仮に、創業社長で一回成功して財を成した人や、投資家として自分の生活費には心配がなく、資産が余っているから社会貢献に使いたいという人が政治家になるのであれば、本当に、5年、10年の長期的な視点で政治を考えられるでしょう。

 

やはり、自分の生活費のために議員になりたいという人よりは、よほど期待できると思います。お金に余裕があると、長い年月の先を考えられるようになります。それは会社でも一緒ですね。

 

今日のまとめ・・・・・・・・・

 

国会議員の資産が公開されるのは、議員が不正をしないよう国民の管理の下に置くためです。また、議員の預貯金をゼロで申告するのは、税金をたくさん払わなくて済むようにするためです。長期的な視点で物事を考えられるのは、資産に余裕がある人だと言えます。

 

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なぜ国会議員は預貯金「ゼロ」で申告するのか?

 

貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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