【同一労働同一賃金】誰が一番得をする?
浅川です。
白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。
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【同一労働同一賃金】誰が一番得をするでしょうか?
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> 同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
> 同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにします。(『厚生労働省ホームページ』より引用)
■誰にとってお得な制度なのでしょうか?
【同一労働同一賃金】は、2020年4月から大企業がスタートし、2021年4月から中小企業でスタートする制度です。その前提知識を確認すると、現在、日本全体で労働者は次のような割合になっています。
A)正社員(正規雇用・無期契約):6割
B)派遣社員・パートなど(非正規雇用・有期契約):4割
今回の新制度は、Bの弱い立場の方々のために作られました。それに伴い、厚生労働省は、次のような指針を示しています。
・正規社員・非正規社員が全く同じ労働であるとは考えにくい
↓
・違うなら合理的な理由を示す必要がある
↓
・その理由に基づき賃金を差をつけるように
つまり、今回の制度をきっかけに、企業は正規社員・非正規社員の賃金の差を明確にする必要が出てきます。
■具体的に、どのように賃金が変わるのでしょうか?
一般的に賃金は、次の3種類により決まります。
1)基本給
2)賞与(ボーナス)
3)各種手当て
このうち【基本給】は、次の内容により、金額が決められます。
・年齢
・経験
・業務内容
・個人のスキル
同じ賃金だとしても、これらの内容が一人一人全く同じであるとは考えられません。ですから、同じ賃金になることはありえません。企業は、この制度が始まることで、これらの差を明確にし、賃金の差をわかりやすく示す必要があります。
次に【賞与】は、売り上げにどれぐらい貢献したかという【貢献度合い】により決まります。ここでも、一人一人が全く同じ金額となることは考えにくくなり、明確な差を示す必要があります。
非正規社員にとって最も得をするのは、【各種手当て】です。たとえば、住宅手当の場合、次のような理由だとしたら、合理的説明だと言えるでしょうか?
・「正社員だから、手当てがつく」
・「派遣・パートだから、手当てがつかない」
明らかに合理的な説明ではありません。ですからこれからは、派遣・パートでも正社員同様に、手当てがつくようになります。役職を考えても、これまでは【正社員の店長】、【パートの店長】などと、名前だけの店長もいました。しかし、【同一労働・同一賃金】では、名前だけの店長というのは、明らかに違反だとみなされます。
■企業に迫られる対策は?
経営者から見ると、パート・派遣社員の給与を上げ、手当てをつけることになるので人件費負担が増えるという影響があります。投資家から見れば、いろいろなニュースがある中の一つに過ぎません。このような流れの中、【黒字リストラ】など、社員や従業員を減らすというニュースも出てきています。
単純に同じ人数の社員・従業員であれば、このままいけば経営者にとって人件費の負担が増えることが予想されるので、利益に影響が出ます。それに対して企業や経営者は、たとえば次のような対策をするなど、考えていく必要があります。
・「新規事業に乗り出す」?
・「新商品を販売する」??
・「リストラで人を削減する」???
新制度が始まるのは決まったことなので、それに対して企業がどのように手を打とうとしているのか、注目すべき点です。日本全体でみると、【できるだけ格差を小さくする】という動きがあります。このような状況での正規社員を望まない人は、インターネットや海外まで目を向ける必要があります。各個人が自分の生き方を考える時代です。
■今日のまとめ・・・・・・・・・
【同一労働同一賃金】は、非正規社員にお得な制度です。企業は、賃金の差に合理的な説明を求められることになり、新制度に伴う人件費増加に対し、どのような対策をするか考える必要があります。
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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。
浅川淑子(あさかわよしこ)
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