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ドンキホーテが大幅増収

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

 

ドンキホーテが大幅増収

 

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ドンキホーテ、大幅増収

 

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> ディスカウント店「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは5日、2020年6月期の連結純利益が前期比2%減の460億円になる見通しだと発表した。(中略)売上高は従来予想より100億円多い26%増の1兆6700億円とした。(2020年2月5日付『日本経済新聞』より一部引用)

 

 

■なぜ、ドン・キホーテは大幅な増収なのでしょうか?

 

一般的に、企業が「今年は20%伸びました」「15%伸びました」「10%伸びました」と発表すると、「結構伸びている」と言えます。

2019年のドン・キホーテの決算書から売り上げを見ると、60%伸びていることがわかります。すごい勢いです。でも、実はその内訳を見ると大したことはありません。単に「スーパーを買収した」ことによる、M&Aの結果です。それを、しっかり理解する必要があります。

 

もちろん、ドン・キホーテ単体も伸びています。しかし、今回「昨年に比べて60%増加」という大幅増収は、ユニーという総合スーパーを完全子会社化にしたという買収の効果です。以下のような形です。

 

・ユニー=売上2,600億円の総合スーパー

・ドン・キホーテが、ユニーを買収

・ドン・キホーテの売上に、ユニーの売上2600億円が上乗せされる

・ドン・キホーテが本来の売上と合わせ、60%の増収となる

 

どんな企業も、創業後、導入期・成長期・成熟期・衰退期があります。

ドン・キホーテは、創業社長の安田隆夫さんが趙カリスマ的な存在で、「0→1」で作りました。創業期・導入期・成長期を進み、今のドン・キホーテがあります。

 

経済は、【需要と供給】から成り立ちます。商品やサービスが「それ、珍しい」と捉えられる伸びていきます。ドン・キホーテも、お店の名前が珍しく、「そのお店、何?」という存在でした。安田前会長はドン・キホーテを作る前、以下のような奇抜な店も作っていました。

 

・「泥棒市場」という奇抜な店名をつける

・深夜でも営業する小売店を開業

・珍しさに、訪れる人が増える

・さらに売上が増えるよう、一般大衆が訪れる店名に変更

・「ドン・キホーテ」に変更

・さらに売上が増えるよう、M&A(企業買収)を増やす

 

このように、最初は奇抜で珍しい形態の店を作った後、売上を増やすため、一般大衆に受け入れられる、ある種「無難なお店」として成長しました。さらに売上を増やすには、日本国内の店舗ではある程度成熟してきたため、グループ全体で伸ばすために、M&Aを増やしているという状況です。

 

 

 

■企業が企業を買収するときに大切なことは?

 

M&Aで一番成功率が高いのは【全くの異業種を買うこと】です。

 

具体的な例を挙げると、実は「ライザップ」という会社は、買収でうまく行きませんでした。本業はボディメイク・健康であるのに、レンタルビデオの会社や、女性用の下着の会社を買ったのです。すると、相乗効果は働かず、決算書の数字だけが大きくなっていきました。つまり、成長ではなく、【膨張した】だけだったのです。膨張しても売上は毎年上がり、営業利益も毎年増え続けます。でも、数字だけの売上でした。

 

ドン・キホーテの場合、総合スーパーを買ったということは、完全な異業種を買った訳ではありません。小売業という共通項もあれば、同じスーパーでもあります。性質は異なるスーパーですが、同じ業種であるので、どのような成長になるか今後が注目されます。

 

 

では、投資家は【買収】をどのように判断するのでしょうか?

 

実は、本当に資産を増やす投資家は、「買収した」というニュースで株を買うことはありません。なぜなら、M&Aで難しいのは「買うこと」ではなく、買った後の次のようなことだからです。

 

・企業と企業の考え方・価値観を合わせる

・企業と企業の文化を合わせる

・両者の統合作業をする

 

これがうまくいかずに、破断になる場合もあります。結婚と同様です。生まれも育ちも、人間関係も違う二人が出会い、結婚式を挙げることはできます。その後の二人の生活がうまくいくかどうかを見極めないと、相乗効果が発揮されるかはわかりません。それと同じなのです。

 

 

投資家は、次のようにニュースの本質を見ています。

 

・「ドン・キホーテの売上が1.6倍に増えた」というニュースを知る

・なぜ60%増えたか、理由を考える

・「ユニーというスーパーを完全子会社化したからだ」とわかる

・ユニーのこれまでの売上状況を見る

・ドン・キホーテとユニーの企業文化を合わせる作業がうまくいくかを考える

 

「売上が1.6倍増えた」、だから「ドン・キホーテは伸びているんだ」、じゃあ「投資しよう」という考えは明らかにギャンブルです。そうではなく、買収後、企業と企業が結婚し、価値観を合わせる作業がうまくいくかまで見る必要があります。

 

 

■消費者が考えるべき視点は?

 

買収後にうまくいくかどうか、見抜くヒントの一つが【社長】です。

 

ドン・キホーテの社長は今、4代目で、元コンサルタントの吉田直樹さんです。コンサル業界でトップレベルのマッキンゼー・アンド・カンパニー出身で、M&Aの専門家です。ドン・キホーテの前もM&Aを担当していました。今後、彼の手腕に注目すると企業の動きがわかるります。

 

その道のプロである方が社長であると、「うまくいく可能性は高い」という判断はできます。今回は、組織の規模も大きいですし、従業員の方も多いので、統合作業は難しいことが予想されますが、社長がその道の専門家であるため、「期待はできる」と考えられます。

 

ドン・キホーテは、ユニーという総合スーパーが入ったとは言え、本体はドン・キホーテです。海外の観光客に人気があるお店ですし、消費者としてどのような店かを観察し、今後、どのように伸びるのかを見ていくと良いでしょう。

 

そもそも、企業は投資家に向けて次のことを言い続けなくてはいけません。

 

・「今年も伸びました!」

・「今年も伸びました!!」

・「今年も伸びました!!!」

 

こうして本業の売上を伸ばしていき、ある程度の規模になると、次に売上を伸ばすためにM&Aが必要になります。

 

たとえば楽天は、M&Aで大きくなっていますが、消費者としては一つの企業が大きくなっているようにしか見えません。イオンにしても、ダイエーを買収したりして、どんどん大きくなりました。M&Aは企業が大きくなる時には増えていきますので、M&Aの知識を少しずつ増やすと、投資家としてのレベルも上がっていきます。

 

やはり、日本の人口が減っている中、成長はしていっても急成長ではなくなっていきます。すると、成長の伸びは小さくなるため、企業はM&Aを考えるようになります。

 

このような企業の方向性を理解するためには、次のようなことを繰り返すと良いでしょう。

 

・うまく行っている企業のサンプルをたくさん知る

・なぜその企業が成功したのかを知る

・今から成功しそうな企業を予測する

 

このことから考えると、ドン・キホーテは、投資を検討する材料の一つには間違いなく入る企業です。しかし、もうすでに有名になっているため、成長は小さいと言えます。「銀行預金するより、ドン・キホーテがいいか」という形で考えれば、投資対象になると言えます。

 

ドン・キホーテは海外進出にも積極的です。現社長と、その前の3代目の社長の時代にアメリカへの進出を非常に意識していたので、その意味での伸びはまだまだあり、期待はあると言えます。ただし、アメリカの市場に挑戦するというのは、長期的な視点での売上増加です。ユニーを買収するのは、今期の売上を上げるための短期的な施策です。企業としては、短期的な売上増加と、長期的な売上増加を考える必要がありますので、アメリカへの進出は長期的な視点が必要です。

 

 

今日のまとめ・・・・・・・・・

 

ドン・キホーテが大幅に増収したのは、ユニーという総合スーパーを買収したからです。今後も、M&Aはますます増えていき、YouTube動画でもキーワードが増えることが予想されます。今回をきっかけに、営業利益が増えたのは「M&Aだから」と知り、M&Aの知識を増やしていくとよいでしょう。

 

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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