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【アマゾン】レジ無し決済「アマゾンゴー」技術を外販へ

浅川です。

白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。

【アマゾン】レジ無し決済「アマゾンゴー」技術を外販へ

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【アマゾン】レジ無し決済「アマゾンゴー」技術を外販へ

 

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> 米アマゾン・ドット・コムは、直営小売店「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」で使うレジの精算作業がいらない技術「Just Walk Out(ジャスト・ウオーク・アウト)」を外部の小売店に提供する。条件などは明らかにしていない。(2020年3月11日付『日本経済新聞』より一部引用)

 

■アマゾンは、6倍の期待値

 

まず、「アマゾン」という企業の理論上の株価と、実際上の株価を確認します。

 

アマゾンの「理論上の株価」とは、アマゾンという企業が本業で上げている営業利益から計算して求める理論上の株価です。「実際上の株価」は、それに投資家がどれぐらい期待しているか? を実際に計算すれば出てくる数字です。

 

すると、現時点(2020年3月)、まだコロナショックの影響があり、世界同時株安になっている状況でも6倍です。どれだけ投資家の期待が大きいかがわかります。この6倍というのは、アマゾンという企業が上場したとき1000倍になり、それに加え、まだあと6倍期待されているという状況です。投資家はアマゾンに対し「まだ伸びる」と、見ているのだと言えます。

 

今回の「アマゾンゴー」は、無人コンビニです。要するに、次のことができるお店です。

 

・お客様がお店の中に入る

・スマートフォンで「ピッ」とアプリをかざす

・お店の中に入る

・お買い物をしてそのまま出る

・スマートフォン上で決済が行われる

 

このような形で、コンビニの中でレジに並ぶ時間や、レジでお会計をする時間が全部なくなります。アマゾンは、コンビニに行き、欲しいものを買い、そのままお店から出ることができる無人コンビニ「アマゾンゴー」の実験店舗を出すという発表を、2018年9月に出しました。今から1年半前に発表した「無人コンビニ」の技術を外に売る、というニュースになっています。

 

 

■なぜ、アマゾンは技術を売るのでしょうか?

 

ここからは完全に私(白坂)の推測です。一個人の意見として聞いていただきたいと思います。

 

アマゾンがなぜ外販したのかと言えば、おそらく「アマゾンは予定変更したのではないか」と推測しています。完全に私個人の仮説になりますが、もともと、直営店舗をどんどん展開していきたかったのではないか、と思っています。

 

アマゾンはインターット上の「小売り」です。 ということは当然、「リアル店舗の小売り」を作りたかったのだと思います。「ネットの小売」+「リアルの小売」を作りたかった。だから、「アマゾンゴー」というレジなしの「無人コンビニ」を始めたのだと思います。

 

ところが、「こういうことができる」ということをアマゾンが全世界に示してくれたおかげで、全世界の人たちが、その技術を一生懸命独自開発し始めたように思います。

 

たとえば、日本の中で有名なのがローソンです。最初は、ローソンも想像さえしていなかった発想です。コンビニといえばレジがあり、お客様はレジの前で並ぶことが常識でした。それをアマゾンが「アマゾンゴー」を発表したことにより、「そんなことできるんだ!」と常識を壊してくれたのです。

 

だから、全世界で一生懸命、技術を真似していったのだと思います。ローソンも、そのように一生懸命取り組みました。ただし、直営というのは、次のような調査や判断が必要なために、展開には非常に時間がかかります。

 

<調査>

・「どこの土地に出そうか?」

・「そこにどれぐらい交通量があるのか?」

・「車の量、人の流れは?」

<判断>

・「ここだったらコンビニを開設しても十分採算が取れる!」

 

そのため、直営店は、いわゆる店舗開発などに非常に時間がかかります。そういったことをアマゾンが1年半かけてやっている間、「アマゾンゴー」だけではなく、次々と「無人コンビニ」を実現できそうだと考えるところが増え、日本ではローソンが実験を始めます。ローソンが「できそうだ!」ということになっていると考えると、アマゾンは時間がかかり過ぎたと感じます。

 

アマゾンの直営展開に時間がかかるので、アマゾンは、本当は自分たちがせっかく開発した技術で「アマゾンゴー」を増やし、リアルの小売を展開していこうと思っていたところ、「もう間に合わない、、、」と考えたのではないか? と感じます。

 

 

一番代表的なのは、日本の東芝テックです。東芝テックは東芝グループの子会社の一つになりますが、レジではなく、「買い物カゴ」で自動会計の技術を作りました。

 

お買い物かごの中に、POSシステム、カメラ、人工知能を持たせて、お店でカゴを持ち、お客様が商品をカゴの中に入れたらカゴの中で自動会計が行われ、連携しているスマホで決済が行われる、というものです。

 

だから、お店全部を無人システム化しなくても、東芝テックが開発した自動会計のカゴさえお店の中に入れれば、ほぼ同じことができるようになっています。

 

そうなれば、全世界ではアマゾンのような大きい企業ばかりでなく、むしろ世界や日本は中小企業ばかりなので「アマゾンゴー」のようなお店全体から作り直さないと無人化が実現できない形ではなく、「カゴを導入すれば、ほぼ同じことができる」という、東芝テックの方が、圧倒的に普及速度が速くなります。

 

ローソンが「無人コンビニ」の実験を始め、東芝テックが「自動会計のカゴ」を開発することができたため、アマゾンはとても間に合わないということではないかと思います。

 

そのため、アマゾンが「アマゾンゴー」という技術で作ったレジなしのコンビニの技術を取り入れたいお店・小売店があれば、その技術を作ります、というニュースなのではないかと私は考えでいます。

 

 

■アマゾンの今後を判断するには?

 

創業してから1000倍の株価になり、さらに6倍の期待が入っている「アマゾン」という企業を、投資家として判断するならば、「アマゾンゴー」は一度外した方がいいと思っています。

 

アマゾンの主な収益源は、今二つあります。一つは、言うまでもなく、「アマゾン」という小売りのサイトです。本、服、靴などを買うことができるサイトが一番です。

 

それに加え、「Amazon Web Service」という、企業にインターネットクラウド空間を貸し出して使ってもらっているサービスがあります。これも、アマゾンにとって非常に大きく、貴重な収益源になっています。そのため今、アマゾンは柱を2本、立てることができています。

 

おそらく、リアル店舗の小売は3本目の柱と考えていたのだと思いますが、今回、「外販」という形で実際に自分たちの技術を売るとなると、これは多分「アマゾンゴー」にシステム開発した投資代金を回収したいのではないかと考えられます。

 

今後のアマゾンを注目するには、アマゾンゴーを1回外して、「3つ目の柱を立てられるか?」ということを、私たち投資家は注目していけば良いのだと見ています。

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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。

 

浅川淑子(あさかわよしこ)

 

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