AI 受験勉強を教える時代へ
浅川です。
白坂先生に、今日の「なぜ」を解説していただきます。
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人工知能(AI)が受験勉強を教える時代へ
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>大学受験予備校や塾などで、人工知能(AI)を活用して最適な学習を促すシステムが相次いでスタートした。少子化を背景に、より一人一人の生徒に合った個別指導をしてほしいという保護者からのニーズがある。(『産経新聞』より引用)
■AI時代の教育で大切なことことは?
今回のニュースで大切なのは、人工知能は【教育の目的を達成するための道具】に過ぎないということです。次のような【道具】と並列に考えられます。
・教科書で教える
・参考書で教える
・学校の先生が黒板で教える
・人工知能で教える
では、【教育】で大切なことは何でしょうか?
・「教養を身につけること」?
・「学歴を見につけること」??
・「考える力を身につけること」???
このように、道具や手段ではなく、【どのような人材を育てたいか】というゴールがもっとも重要ですです。それを私たちは見失いがちです。
たとえば、交通手段で考えてみましょう。もし選べるなら、次のどれを利用しますか?
・タクシー
・電車
・飛行機
これだけでは当然選ぶことができません。では、次の目的だったらどうでしょうか?
A)品川区→渋谷区への移動
B)東京→アメリカへの移動
Aの場合に飛行機を使うことはあり得ません。またBの場合に地下鉄を使うことはありえません。つまり、【ゴールを考えなければ手段を選べない】のです。
これは教育でも同じです。親が子の幸せを願う【ゴール】には、次のようなものもあるかもしれません。
・「いろいろな経験を積み、たくさんの失敗をして成長してほしい」
・「やりたいことをどんどん突き詰め、成長してほしい」
・「社会に役立つ人間になってほしい」
これらの【ゴール】から考えると、人工知能が教えることはどれほど重要でしょうか? もし、勉強が好きで、高校、大学と難しい勉強を突き詰めたいのであれば、人工知能が手助けになることもあります。人工知能が必要でない場合もあります。その視点を思い出す必要があります。
■これからの時代に身につけるべき能力は?
私(白坂)の塾講師経験から言えば、「勉強が好きで好きで、突き詰めたい」という子どもは1%にしか過ぎません。残る99%の子にとっては受験は必要ありません。では、今からの時代に活躍できるのはどのような人材でしょうか? それは、【コミュニケーション能力が高い人】です。オンラインでも、オフラインでも、次のことができる人を言います。
・他人を理解することができる人
・他人と一緒に働ける人
・自分が全てできなくても、他の人に依頼できる人
・コミュニケーションを取りながら解決策を考えられる人
これらができるようになるには、受験勉強よりも、部活動や委員会、課外活動をやる方がいい場合もあります。これからの時代、【いい大学に行けば全員幸せになれる時代】ではありません。子どもが「勉強が好き」「もっと学びたい」という子に対し、人工知能などの道具は進化していると言えますが、必ずしも全員に必要な道具ではありません。
では、コミュニケーション能力を高めるには何が必要なのでしょうか?
それは、【人と接する機会を増やすこと】です。
昔は、「部活よりも塾で勉強」という時代でしたが、今は「塾よりも部活をもっとがんばれ」という時代です。そのような時代の中で、子どもの幸せを考える時に「塾が必要かどうか」、「塾の道具として人工知能が導入されているかどうか」を見直すといいのだと思います。
■子どもを観察してゴールを設定
子どもの幸せを願い、「このような子になってほしい」とゴールを設定する上で、本当に子どもに合ったゴールを設定するには何が必要でしょうか?
それは、【子どもをよく観察すること】です。特に、「何をやっている時に、時間を忘れて熱中しているのか」見る
ことが重要です。
たとえば、私(白坂)の娘と息子は、2歳の時の過ごし方が全く違ったため、ゴール設定も違います。
<娘>
・お姫様やディズニーが大好き
↓
・「人と接する機会を増やすこと」「人と共感すること」を重視
<息子>
・プラレール、電車が大好き
↓
・「学問を突き詰める」「受験向き」タイプの可能性
その分野で活躍できる人材になれる環境を整えるために、【子どものやりたいことを伸ばす】という方法が、本当にその子どもの願いに近づいている言えます。
ここで面白いデータを紹介します。塾講師だった頃、保護者の悩みの9割は確実に【家で勉強しないこと】でした。家で勉強しない代わりに、ゲームやテレビを見て過ごすと言います。では、次の場合、A・Bどちらの結果になるでしょうか?
・ゲーム3時間を1時間に減らす
↓
A)勉強時間が2時間増える
B)勉強以外の時間が2時間増える
正解は【B】です。勉強時間は確実に増えず、「ボーッとする」など別のことで時間を取られることが増えます。つまり、ゲームが好きな子にゲーム時間を減らすのは無意味、だということです。
それであれば、好きなことにとことん熱中させた方が遥かに集中力を養えます。かつて、中学の最難関校に合格した教え子の中で、もっとも遅いスタートだったのは小学6年生の夏からでした。それでも、合格する子は合格します。
大事なのは、時間の長さではなく【集中力】です。好きなことに没頭していれば、「いよいよ受験勉強」という時期に3、4ヶ月でもしっかりと伸びます。
実際に、スタンフォード大学やハーバード大学の研究で、「頭を使うゲームをやるとその後の学力が伸びる」というデータがある通り、ゲームが直ちにマイナスではありません。
大切なのは、【ゴールを見ること】。それに向かうことが重要なのであり、それが出来ないのであれば、【目の前の好きなことをとことんやる方がいい】と言えます。
これからのAI時代、「人工知能を敵だ」という考えは無意味です。人工知能は便利な道具になり、人間は間違いなく勝てないので、【人工知能にできないこと】を考え、それを身につける方が遥かに重要です。人工知能に「仕事が奪われる」と否定絵的に捉えるのではなく、個人ができないことを考え、【コミュニケーション能力】など価値があることを伸ばす方法が重要です。
■今日のまとめ・・・・・・・・・
教育において、人工知能は「道具」に過ぎません。大切なことは、子どもをよく観察してゴールを設定し、それに見合った道具を考えること。これからの時代は人工知能にできない【コミュニケーション能力を高めること】が重要です。
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貴重な時間にて文章をお読みくださり感謝しています。
ありがとうございます。
それでは、また。
浅川淑子(あさかわよしこ)
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